週刊少年ジャンプ 2019年9号
約束のネバーランド 第120話 形のない怪物 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
123話では以前考えたように、
ムジカやソンジュというイレギュラーが話題にあがった。
週刊少年ジャンプ 2019年12号
約束のネバーランド 第123話 大事な選択 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
本来鬼は、食べた生き物の形質を得て、食べ続けることでその形質を維持する。
しかし、ソンジュはここ1000年人間を食べていないし、
ムジカにいたっては、一度も食べたことがなく、食べる必要もないという。
そして今回明らかになった情報として、
彼ら二人は、鳥や魚を食べても形質は変化していない。
ここまでをまとめると、「食べた形質を得ていない」し、「食べなくても形質を維持できている」ということになってしまう。
もちろん、彼らが「例外」である可能性もあるが、
ノーマンの言っていた情報が正確でない、という可能性も十分考えられる。
実際、他の一般的な鬼も「他の動物を食べた」にもかかわらず、
その形質が表れていないケースが見られる。
このあたりについて正確に把握できれば、エマの望む未来へと一歩近付くことになる。
なので今回は、ノーマンの言っていた鬼の性質が正しいものなのか、ということについて考えてみる。
ヒントになりそうな情報
まずは鬼の性質と、その具体的な事例について、
現在明らかな情報をまとめていく。
重要そうな点は以下の通り。
1.鬼は食べた生き物の形質を得る
2.食べ続けなければ、その形質を維持することができない
3.質の低い肉では形質を維持しづらい
4.ソンジュは約束後人間を食べておらず、ムジカは一度も食べたことがない
5.ソンジュとムジカは魚や鳥の肉を食べたが、姿は変化していない
6.鬼の街にはムカデなどの肉があったが、人型以外の鬼は見受けられない
7.コニーに儀程を施した鬼は猫を食べたことがあるが、猫の形質は見受けられない
それぞれ簡単に見ていく。
1.鬼は食べた生き物の形質を得る

週刊少年ジャンプ 2019年9号
約束のネバーランド 第120話 形のない怪物 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
ノーマンいわく、鬼は形のない生き物である。
食べた動物の形質を得ることで、食べたものと似た姿になり、進化を遂げてきた。
そして、人間を食べたことによって知能を得た、とエマたちに伝えている。
2.食べ続けなければ、その形質を維持することができない

週刊少年ジャンプ 2019年9号
約束のネバーランド 第120話 形のない怪物 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
何にでも進化できる一方で、代償があるとノーマンは言う。
それは、形質を得た生物を食べ続けなければ、形質を維持できないということ。
すなわち、人を食べないと知能を失っていってしまうということになる。
3.質の低い肉では形質を維持しづらい

週刊少年ジャンプ 2019年9号
約束のネバーランド 第120話 形のない怪物 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
そして、粗悪な量産農園の肉では、人の形質をしづらいとも言っている。
個体差などで差はあるが、人を半年食べなければ知能を失う鬼もいるとのこと。
逆に、良質な人間を一度でも食べると長く形質を維持できる、ともとれる。
4.ソンジュは約束後人間を食べておらず、ムジカは一度も食べたことがない

週刊少年ジャンプ 2019年12号
約束のネバーランド 第123話 大事な選択 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
しかし、例外としてソンジュとムジカがいる。
ソンジュは原初信仰の教義により、農園産の人間を食べていない。
つまり、約束以後、1000年近く人間を食べていないことになるが、人間の姿を維持している。
そして、ムジカに至っては、ソンジいわく「人間を食べたことも食べる必要もない」。
人間を食べてすらいないのに、知能を得て、維持していることになる。
実際、エマという最高級品を目の前にしても、彼らを食べる素振りは一切見せていない。
そのため、彼らが「長い間人間を食べていない」ということに関しては非常に信憑性が高い。
5.ソンジュとムジカは魚や鳥の肉を食べたが、姿は変化していない

週刊少年ジャンプ 2019年12号
約束のネバーランド 第123話 大事な選択 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
ソンジュやムジカはエマたちとともに過ごしている間、鳥や魚といったもの食べていた。
しかし、姿や形が変化していない。
つまり、「食べた生き物の形質を摂取していない」ということになる。
6.鬼の街にはムカデなどの肉があったが、人型以外の鬼は見受けられない

週刊少年ジャンプ 2018年41号
約束のネバーランド 第102話 見つけたよ より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
鬼の街の店には、虫や魚のような食材が置かれていた。
(12巻のおまけページがわかりやすい。)
しかし、街を歩く鬼は人型ばかりで、人以外の形質を併せ持つような鬼すら見られない。
そのため、強制的に形質が反映されるわけではない、という可能性が考えられる。
7.コニーに儀程を施した鬼は猫を食べたことがあるが、猫の形質は見受けられない
また、1話の鬼は野良猫を食べたことがあるかのように話している。
しかし、どちらの鬼も猫のような形質は見受けられない。
このあたりをふまえて、ノーマンの言っていた鬼の性質について、
どこまでが正確な情報か、ということを考えていく。
鬼は本当に食べたものの形質を得るのか?
まずは、鬼が食べた生物の形質を得るのか、ということについて。
ここは正しいが情報が不足している、というふうに考えられる。
具体的には、「食べた動物の形質を得ることが可能。それが発現するか否かは別」なのではないかと。
どういうことか。
食べた動物の形質を得られる、というのは基本的に間違いないだろう。
そうでなければ、様々な姿の鬼がいることに説明が付きづらく、
また農園という養殖機関が作られるほどの状態にはならないだろうから。
しかし、実際にその形質が全ての鬼に発現するかはまた別の話なのではないかと。
パターンとしては2つ。
1.個体差によって形質が表れない動物がいる
2.自由に取り入れる形質を選択できる
この2つ。それぞれ簡単に見ていく。
1.個体差によって形質が表れない動物がいる
まずは、動物を食べても個体によって形質を得られないことがある、というパターン。
例えば、人を食べても知能が得られない鬼がいる、といったような。
2.自由に取り入れる形質を選択できる
そしてもう1つのパターンとして、動物を食べた際、
「形質を取り入れる、取り入れない」ということを自ら選べるというパターン。
こちらであれば、街に人以外の形質を取り入れていない鬼が多いことに説明がつきそうだ。
どちらもないとは言えないが、
街の鬼に人と別の生物が混ざった鬼があまりいないことから、
後者の自由に形質を取り入れることができる、という可能性が高そうだ。
鬼は本当に食べ続けなければ形質を維持できないのか?
そして、本当に動物を食べ続けなければ、形質を維持できないのか、という疑問について。
これがもし正しくないのなら、エマの望みには近づき、ノーマンの計画は崩れることになる。
ここに関しては、現状あまり検討のしようがない。
というのも、「鬼が人間を食べ続けていない」状態のサンプルが、
ソンジュとムジカしか存在せず、どちらもイレギュラーであるからだ。
その上で情報の出処から考えてみる。
ノーマンが嘘をついていない場合、ラートリー家がこの情報を伝えたことになる。
それなら、この形質保持に関する情報は、正しい可能性が高い。
農園の建設動機、ラムダ計画の経緯などに関しては鬼の弱点といえる情報なので、
脱獄を支援する立場としては、ここで嘘をつく理由が一切ないからだ。
というわけで、現状この鬼はその生き物を食べ続けない限り形質を維持できない、
ということについては、概ね正しいと考えられる。
以下に結論をまとめた。
結論
ノーマンの話していた、鬼の生態の真偽について考えてみた。
結論としては、
食べた動物の形質を得られるのは正しい。
しかし、その形質を取り入れるかどうかは選択できる可能性が高い。
その上で、食べ続けなければ形質を維持できない、というのは正しいといえそうだ。
おわりに
今回も配信をした。123話からわかることをいろいろ考えたのでぜひ見て欲しい。
→123話伏線・考察まとめ配信ログ(2019年2月18日放送)
ムジカは人間とのハーフ。ソンジュはムジカの生き血を定期的にもらってる。
鬼は定期的に人間を食べなきゃ形質が保てないということは、一度くらい猫を食べたところで猫の形質はすぐに薄れてしまうと解釈できる。
これは摂食時に取り入れる形質を選択できるということではないという理解をしてます。
より強く濃く摂取した形質が表れるみたいな。
あとなぜか蛇?の形質は引き継がれないみたいな絵がお寺にあったので、鬼はもともと蛇なのかも。
はじめまして、たかたかさん。
コメントとても興味深く読ませていただきました。
「一度くらい食べたところで、その形質はすぐに薄れてしまう」
「より強く濃く摂取した形質が現れる」
確かにそう考えると筋が通っている気がします。
お寺の絵については、私は蛇を食べたら死ぬってことなのかな?と思っていましたが、細菌だったみたいな存在が他の生物を摂取するようになった時は蛇(もしくは蛇型生物)だったという可能性もあるのですね。
ところで、ムジカのあの三つ編みも蛇型に見えなくもないですよね。原初蛇型鬼と人間のハーフなんてのもありそうかなと思いました。
追加です。すみません。
たかたかさんの鬼が蛇って説、すごく面白いと思いました。
他の生物を摂食する最も原始的な方法は、噛んで食べるより魚や蛇のような丸呑み型になりそうだし、それが陸上なら蛇の形は適しているように思えます。
気になってウィキで見てみたら、「竜」のモデルも蛇神と言われているとか。。。一年に一度ハウスに運ばれてくるリンゴとかの連想も手伝って、「鬼」=「蛇」説が一気に気になってきました。
>たかたかさん
初めまして。コメントありがとうございます。
>シナモンさん
いつもコメントありがとうございます。
◆◆人間と鬼のハーフ◆◆
ハーフというのは、人を食べたことがないのに人の形質がある、
ということに説明が付きやすいので、けっこうありそうですよね。
ムジカの生き血をもらうというのも、天然物であれば問題なさそうです。
ただ、ハーフであるという根拠も今のところ思い当たらないんですよね。
鬼がどう増えているのかもわからないので、確実にそうだとは言えなさそうです。
◆◆形質◆◆
あ、おっしゃるとおり、一度の摂取では変化しづらいというのは有力ですね。
◆◆蛇◆◆
既に形質をもっているから反映されない、というのは思いつかなかったです。
共食いだから駄目、ということを指している可能性もあるかもしれませんね。
素体の形は蛇っぽくなかったですが、それもあるかもしれないですね。
一度読んだだけなのでキャラクターの名前や場所の名前を完全に忘れてしまったのですが、主人公が地下シェルターで出会った「おじさん」と三人で初めて旅をした目的地の「金の池」(?)的なところに行きましたよね。
そこで狩をしている鬼たちと対峙することになったと思うのですが、その時黒っぽいカップルの鬼が瀕死の片割れを喰らい、鬼が「僕の中に〇〇がいるうちに、、、」などと言っていたことがずっと引っかかっていました。
そして、この記事を読みながら、
これは、1「鬼は食べた生き物の形質を得る」2「食べ続けなければ、維持できない」を肯定する事実の一つだろうと感じたものの、3「質の低い肉では形質を維持しづらい」を部分的に否定するのではないかとも感じました。
部分的に否定される根拠としては、人間でなくとも量産型食用児よりかは「マシ」であろう上等な知能を持つ鬼を食っても、戦闘に決着をつけるのを焦るほどの時間しか自身を強化できないという点です。
一方で、これについては「グプナ」を行なっていないからではないかとも考えられるのではないでしょうか。(「鬼の食作用」というテーマからややそれてしまいますが)
グプナをすると意識(たましい)が神のもとへ逝き、残った肉体を頂くというシステムがあり、兄のカップルが片割れを食べた時にはグプナをしなかったために鬼の未知の食作用のシステム(思考すいにゅう)
一度読んだだけなのでキャラクターの名前や場所の名前を完全に忘れてしまったのですが、主人公が地下シェルターで出会った「おじさん」と三人で初めて旅をした目的地の「金の池」(?)的なところに行きましたよね。
そこで狩をしている鬼たちと対峙することになったと思うのですが、その時黒っぽいカップルの鬼が瀕死の片割れを喰らい、鬼が「僕の中に〇〇がいるうちに、、、」などと言っていたことがずっと引っかかっていました。
そして、この記事を読みながら、
これは、1「鬼は食べた生き物の形質を得る」2「食べ続けなければ、維持できない」を肯定する事実の一つだろうと感じたものの、3「質の低い肉では形質を維持しづらい」を部分的に否定するのではないかとも感じました。
部分的に否定される根拠としては、人間でなくとも量産型食用児よりかは「マシ」であろう上等な知能を持つ鬼を食っても、戦闘に決着をつけるのを焦るほどの時間しか自身の内側に片われを維持できないという点です。
一方で、これについては「グプナ」を行なっていないという事実もあります。(「鬼の食作用」というテーマからややそれてしまいますが)
グプナをすると意識(たましい)が神のもとへ逝き神の糧となり、残った肉体を頂くというシステムがあると仮定すれば、鬼のカップルが片割れを食べた時にはグプナをしなかったために鬼の未知の食作用のシステム(短時間的な思考吹入とでも言いましょうか)が働いたとも説明できます。
もし、グプナの行為の裏にこの神道のようなシステムがあるのなら、いかにも形式的なグプナの行為が必ず行われていることにも説明がつくのではないでしょうか。
また、『3「質の低い肉では形質を維持しづらい」を部分的に否定するのではないか』に対立する考えとして、『「鬼社会にとって社会問題になっている」という証言を覆すことは極めて困難ではないか』というものも湧きました。もちろんこの証言の出どころが不明な為、管理人の言うように議論のしようがありませんが一部の鬼と同盟を組むまで外交に積極的な彼が社会問題になっている物事を見間違えるのは不自然でもあります。
長文でつらつらと失礼しました。
はじめまして、山鯨さん。
一度読んだだけなのに、すごい記憶力ですね!(ちなみに「おじさん」はユウゴってかっこいい名前の20代の若者、カップルはノウスとノウマですo(^▽^)o)
「グプナ」と「鬼の食作用システム」の関係なんて考えたことなかったので、とても興味深く感じました。
以前ソンジュが言っていたように「血抜きにもなるから肉が長持ちする」っていうのが、実質的にほとんどの理由だと思っていたので…
でも一滴の血ですらすごく美味しいのに、農園では生きたまま出荷せず必ずグプナを行っているというのは、長持ちの他にも理由があるってことですよね。改めてグプナに対してもっと知りたいという興味が出てきました。
山鯨さんのコメントの本筋とちょっとずれてしまってすみません。
>山鯨さん
初めまして。コメントありがとうございます。
>シナモンさん
いつもコメントありがとうございます。
◆◆ノウスとノウマ◆◆
なるほど、グプナの有無という視点はありませんでした。
たしかに、何かしらの差異があってもおかしくありませんね。
「低質な肉では形質の維持がしづらい」ということの否定として、
ノウマでも意思を少しの間しか維持できていない、というのはありそうです。
ただ、「形質」と「記憶」はまた別とも言えるでしょうから、
強い根拠ではないかなと考えています。