週刊少年ジャンプ 2019年18号
約束のネバーランド 第129話 背負うべきもの より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
今回は、ノーマンの計画について、改めて考えていく。
というのも、「農園破壊や内乱によって鬼を絶滅させる」というだけでは、まだまだ不十分であると感じたからだ。
鬼はともかくラートリー家はどうするといった問題に加えて、129話にて、バーバラたちが発作を抱えていることが判明。
ノーマンは彼女たちも救うつもりでいるようだが、「鬼を滅ぼす」というだけでは、彼女たちに治療を施すことは難しい。
というわけで、ノーマンの計画で現状明かされていない、「鬼以外の問題」への対処から、彼の作戦の全貌を考えていく。
ヒントになりそうな情報
考えるにあたって、まずはノーマンの計画で明らかになっている情報をまとめていく。
重要そうなのは以下の通り。
1.ノーマンの計画の根本は、鬼を絶滅させること
2.そのために、農園をすべて破壊する
3.邪血を取り込んだ王族・五摂家は内乱を起こして殺す
それぞれ簡単に説明していく。
1.ノーマンの計画の根本は、食用児の血を流さず、鬼を絶滅させること

週刊少年ジャンプ 2019年9号
約束のネバーランド 第120話 形のない怪物 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
ノーマンが考えた計画の最終的な目標は、「食用児の楽園を作ること」。
なので、食用児が命を落とさず、かつ鬼を絶滅させるということを狙っている。
鬼が絶滅すれば、食用児は食べられることがなく、鬼の世界を食用児の世界へと変えることができるからだ。
その過程で、食用児が死ぬことがないような計画をノーマンは立てているという。
2.そのために、農園をすべて破壊する

週刊少年ジャンプ 2019年9号
約束のネバーランド 第120話 形のない怪物 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
鬼を絶滅させるための具体的な手法は、「農園をすべて破壊する」こと。
鬼は人間を食べ続けなければ、人の形質や知能を維持することができず、退化する。
知能さえなければ、戦うことも容易であるため、正面から戦うよりもずっと安全で効果も大きい、という狙い。
3.邪血を取り込んだ王族・五摂家は内乱を起こして殺す

週刊少年ジャンプ 2019年16号
約束のネバーランド 第127話 対立 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
しかし、王家や五摂家は、人間を食べなくても退化しない。
邪血の少女の一族を食べたことにより、彼らの「人の姿・知能を固定する」という性質を引き継いでいるからだ。
王家や五摂家に対しては、彼らに恨みを持つ元貴族、ギーラン家をあてがう。
ギーラン家の復讐に協力することにより、彼らを戦わせ、両勢力を消耗させた後に対処する。
ここまでは、かなり文句のつけようがない。
食用児の安全を確保しつつ、鬼を絶滅させるという点においては完璧だろう。
ただし、これだけでは「鬼以外への対抗手段」と「アフターフォロー」という面が不十分。
そこについてもまとめていく。
ノーマンの計画における、現状の問題点
1.現状、ラートリー家への対応が一切提示されていない
2.ラムダの実験による、発作の解消
3.生活基盤の確立
4.鬼のボスとの対立
1.現状、ラートリー家への対応が一切提示されていない
まず1つ大きな問題は、ピーターたちのいるラートリー家。
ノーマンは話題にあげていないが、鬼を絶滅させるとなると妨害は避けられないし、
もし仮に絶滅を成功させたとしても、報復などは避けられないだろう。
というのも、ノーマンいわく、王家・五摂家とラートリー家は癒着している。
つまり、何らかの利害関係があるわけなので、鬼の存在が失われるということは利益がなくなるということだ。
ノーマンはまだ話題にしていないが、これに関しては影響が大きく、まず間違いなく起きることなので、何らかの対処は想定済みだろう。
2.ラムダの実験による、発作の解消
そして、今回明らかになったこととして、バーバラ、シスロ、ヴィンセントの3人の身体の問題がある。
ラムダの実験により力を得たものの、副作用として頭が痛むという発作が定期的に起こる。
薬で対処しているが、症状が重くなり、薬の数が多くなっているという状態だ。
この薬が一般的なものでも、ラムダから持ち出した特殊な薬だとしても、どの道数が有限。
いずれ供給が追いつかなくなってしまい、彼らは結局苦しむこととなってしまう。
そして、鬼の世界を滅ぼしたとしてもこれは解決しない。
何故なら、農園がなくなれば薬を奪ってくることは不可能だし、人間の世界から得るしかないが、ラートリー家を敵に回す以上、基本は不可能だろう。
しかし、ノーマンはモノローグで「シスロたちも救いたい」と考えている。
すなわち、こういった発作を対処する方法についても考えている可能性が高い。
3.生活基盤の確立
2とも関連するが、鬼の世界を食用児の世界にしたところで、すぐに生きていけるかというと難しい。
これまでは農園から食料などの物資を供給していたが、農園を破壊する以上それもできなくなる。
しかし、「楽園の造設」を掲げているノーマンとしては、ここまで考えている必要があるため、戦いの後のアフターフォローに関しても考えがあるだろう。
4.鬼のボスとの対立
そして最後に、鬼のボスと対立するという問題点。
ムジカいわく、「約束を破るなら、鬼のボスを敵に回すことになる」。
王家・五摂家とはまた別に、鬼のボスという敵も認識する必要があるということになる。
しかし、これについてはノーマンは考慮していない可能性が高い。
というのも、鬼のボスがいるという七つの壁についても伝承である、としか認識していない。
なので、ノーマンの計画について考える今回は、ここに関しては考慮しない。
これらの問題をいかにしてノーマンは解消しようとしているのか?
妥当性などから検討していく。
ノーマンは現状の問題点をどう解消しているのか?
さて、これらの問題点についてノーマンはどう対処するつもりなのか、ということを考えていく。
少なくとも、
・ラートリー家との対立
・シスロたちの身体の治療
・鬼絶滅後の生活基盤
の3点に関しては、決行前にある程度解決策が講じられているだろう。
そうじゃなければ見切り発車にほどがあるからだ。
これらに関して、計画時点で想定できる方策を考えてみた。
1.ラートリー家と戦い、資源を奪う
まずは、ラートリー家と戦うことによって滅ぼすという方策。
これが可能なのであれば、それはそれで問題がない。
しかし、基本的に戦って勝つことは無理だろう。
重火器などの戦力が人間の世界の上であることは明らかだし、数などの想定できない。
更に、食用児が命を落とさないように戦うとなると、いよいよ不可能だろう。
2.ラートリー家と交渉し、生活基盤や治療環境を確立する
もう1つは、ラートリー家と交渉することだ。
ラートリー家が王家・五摂家と癒着しているということは、何らかの利益があるということ。
その利益を食用児たちが提供することができれば、何も問題がない、という説。
しかしこれも難しい。
というのも、王家や五摂家が提供する「利益」が食用児にも提供可能なもの(鬼の世界の資源など)だとすると、
それはラートリー家が直接鬼の世界へ乗り込んで、食用児と戦って手にする方が何倍もいいからだ。
薬や治療環境なども、向こうの医師を信用する必要があるが、毒物などを渡される可能性もあるわけで、基本的に苦しい。
3.人間の世界への道を絶ち、完全に鬼の世界を独立させる
最後に考えられるのは、人間の世界への道を完全に絶つこと。
これができれば、ラートリー家による邪魔も干渉もされることはない。
生活基盤の確立も、完全にできないというわけではない。
各地の農園を襲う過程で食いつなぐことはできるだろうし、本などの情報から技術を発展させていくことも可能だろう。
少なくとも、現状最も現実的なのは完全にすべての道を絶つこと。
ラートリー家による邪魔が最も作戦の成功率を下げる要因であるため、それを防ぐのが最優先事項だろう。
結論
ノーマンの計画の問題点について考えてみた。
現状、食用児の命を落とさずに、鬼だけを絶滅させるという観点で見ると、ノーマンの計画は最善に近い。
しかし、ラートリー家の妨害や報復、そしてシスロたちの身体、鬼の世界での生活基盤の確立などに問題がある。
現状、ラートリー家とぶつかることが最もリスクが大きい。
彼らに干渉されないためには利益を与えるか、物理的に干渉を不可能にするかの二択。
利益を与えるというのは難しく、信用もできないことから、
基本的には農園にあるという人間の世界を塞ぎ、独自に生活基盤をつくっていくという計画が現状妥当かなと考えている。
おわりに
本日も配信をした。
2~3週間分話したのでけっこうなボリューム。
→129話伏線・考察まとめ配信ログ(2019年4月1日放送)
ソンジュやムジカの目的や、七つの壁のヒントについて一歩進んだことを話したので、ぜひ見て欲しい。
バーバラが救われるのは、
鬼に恨みを晴らしながらの討ち死にしか無いでしよう。
あと、人間のほとんどは、ラートリー家と身分の高い鬼の側につくでしょう。
全人類で、食用児と、僅かな偏った人間だけが、身分の低い鬼と共にラートリー家に敵対するでしょう。