週刊少年ジャンプ 2019年24号
約束のネバーランド 第134話 Lost Boy より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
「七つの壁はこの中にある」と鬼のボスに招かれた先はシェルター。
GFハウスと同様に、ドアの先が毎回変わり、向きも毎回変化するという謎空間。
そして、その迷路をさまよい続けたレイは老けていて、エマは銃とペンダントを残し消えていた。
分からないことが増えたが、描写も増えたことによってどんな空間なのか、ということを判断する要素も増えた。
この空間が何なのかわからなければ、ここにあるという七つの壁や、その伝承を解釈しようがないので、改めて扉の向こうの空間について考察していく。
ヒントになりそうな情報
まずは、扉の向こうの空間について、現在分かっていることをまとめていく。
ヒントになりそうな情報としては、以下の通り。
1.引き返せない扉の先は、GFハウスだった
2.空間がおかしくなり、イザベラや出荷された子供が現れた
3.イザベラや子供は骸骨になり、「あそぼ」と詰め寄った
4.鬼のボスによって、七つの壁はこの先にあるとシェルターへ誘導された
5.シェルターも同様に空間がおかしくなっていて、矢印が現れた
6.エマは消え、レイはこの空間を数年単位さまよい、記憶が曖昧になっている
それぞれ簡単に見ていく。
1.引き返せない扉の先は、GFハウスだった

週刊少年ジャンプ 2019年21号
約束のネバーランド 第132話 誅伐 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
もう1つの約束を結ぶため、エマとレイは鬼のボスへ会いに行くことを決意した。
そのために、寺の天井絵で判明した、「昼と夜」への行き方を用いて七つの壁を探している。
ヴィダを金の水に浸して、血を注ぐことによって周囲から観測されない空間へ移動。
その先にある「引き返せない扉」の向こうへと歩き出した。
扉の向こうにあったのはGFハウス。中へ入っても間取りなどが完全に一致したGFハウスだった。
2.空間がおかしくなり、イザベラや出荷された子供が現れた

週刊少年ジャンプ 2019年22・23合併号
約束のネバーランド 第133話 あそぼ より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
しかし、突如空間が歪み、エマは床に出現した扉に落ち、何故か二階へと飛ばされる。
更に、レイの目の前にはイザベラやコニーなど、出荷された子どもたちが現れる。別人だと気づいたレイだが、姿が子供に変化する。


週刊少年ジャンプ 2019年22・23合併号
約束のネバーランド 第133話 あそぼ より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
3.イザベラや子供は骸骨になり、「あそぼ」と詰め寄った

週刊少年ジャンプ 2019年22・23合併号
約束のネバーランド 第133話 あそぼ より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
また、イザベラや子どもたちは骸骨に変化し、「あそぼ」とエマとレイに襲いかかる。
その様子を見たエマも、子供の姿に変化してしまう。
4.鬼のボスによって、七つの壁はこの先にあるとシェルターへ誘導された

週刊少年ジャンプ 2019年22・23合併号
約束のネバーランド 第133話 あそぼ より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
「あそぼ」という人形や骸骨に対し、エマは「鬼のボスだよね」と話しかける。
鬼のボスは「ずっとあのばしょにいるよ ななつのかべのさき みつけてごらん」「ななつのかべは このなかにある」と、シェルターの入り口を彼らの前に出現させた。
ここまでで気になることとしては、「GFハウス」や「イザベラたち」「シェルター」など、エマとレイたちしか知らない、鬼のボスは知りえない情報が多分に含まれていること。
つまり、エマたちの記憶をもとにハウスやシェルターが構成されている可能性が高い。
そして、人形や骸骨などが「あそぼ」と詰め寄ってくることから、鬼のボスが干渉できる空間だと考えられる。
5.シェルターも同様に空間がおかしくなっていて、矢印が現れた
そして今回描かれたシェルターだが、GFハウス同様に空間に秩序がない。ドアを開くたびにその先の部屋や向きが変化する。
新たな特徴としては、「ジジ……」という音や四角いノイズのようなもの。ここからも、このシェルターが何らかの方法で「再現」されたものであることが伺える。
また、本来のシェルターにはないはずのものも見受けられる。
1つは、机の上にある花。これはジジッ……という音とともにノイズがあるため、意図的に作られたものである可能性がある。
また、もう1つは二度目のモニタールームの矢印。一度目は存在しなかったことから、何らかの理由で発生したものと考えられる。
6.エマは消え、レイはこの空間を数年単位さまよい、記憶が曖昧になっている
そして最後に、冒頭のレイの様子。

週刊少年ジャンプ 2019年24号
約束のネバーランド 第134話 Lost Boy より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
「もうわけがわかんねぇ」「今は何年だ」「ここはどこだ」「あれからどれだけの時間が経ったのだろう」「俺は誰だ」と、様々な記憶が曖昧になっている。
エマがいないことに関しても気づいていなかった。
時間経過に関しては言い方から見て数年単位さまよった可能性が高い。
すなわち、長い間さまよい考え続けても性質はわからず、七つの壁の謎に関しても解けていないということになるだろう。
ここはどこだ、という台詞からも、やはり空間に秩序がないものと考えられる。
疑問としては、エマが消えたこととそれに気づいていなかったこと。そして、自己認識すらもできていない、老いている状態であること。
老いていることに関しては時間経過を考えると自然ではあるが、子供になるような空間のため、何らかの影響を受けていることが考えられる。
しかし、エマが消えたこと、すんなり受け入れたことなどはさっぱり分からない。精神的に追い詰められているせいとも考えられるため、どこからが異常なのかも難しい。
……と、正直どこから手をつけていいのか分からないレベルで混沌としている。
その上で、分かっていることから推測して、少しでも真実に近づければと考えてみた。
扉の先の空間は一体何なのか?
134話をふまえて、改めて扉の先の空間について考えていく。
まず、ある程度確証が持てるところとしては、
1.エマとレイの記憶をもとに作られた場所である
2.鬼のボスが干渉できる場所である
この2つかなと。
1に関しては、GFハウス、イザベラたち、そしてシェルターときてほぼ確定したと言っても良い。
物理法則が乱れていることから、GFハウスやシェルターそのものではないということが言えるので、再現されたものであるというのが確実。
その上で、この3つの要素について再現できるほどの情報を持っているのは、エマとレイ以外に存在しない。鬼のボスなどは、そもそも知りようがないからだ。
そして、鬼のボスが干渉できる場所であるということは、GFハウスでの出来事が分かりやすい。
物理法則が歪み、イザベラたちが現れたのはほぼ同時。そして、イザベラたちは骸骨になり、「あそぼ」と詰め寄ってくる。
これはすなわち、鬼のボスがハウスを変化させ、イザベラたちを作り出したり、変質させたりして干渉していると考えられる。
その後エマの呼びかけに鬼のボス自身が答え、更に七つの壁がある場所として、シェルターの入り口を発生させた。これもやはり、鬼のボスの意志によって空間が制御されているものと考えられる。
そして、その先にあったシェルターでも、起こっている現象はハウスの扉と同じ。
つまり、シェルターの先でも同じく鬼のボスが空間を制御・干渉しているものと推測できるだろう。
では、空間をいじって何をしたいのか。鬼のボスの目的は何かを考えていく。
鬼のボスの目的とは?「あそぼ」の真意を考える
レイの様子を見るに、かなり長い時間無秩序な空間をさまよわせたものと考えられる。
そして、この空間が鬼のボスによって制御されていると仮定すると、意図的に迷わされているということになる。
この狙いは一体何なのか?
考えてみたところ、エマやレイを精神的に追い詰めることが第一に考えられる。
というのも、以前の考察でも考えたが、エマたちの精神状態が変化したとき、彼らの身体も変化している。
レイが子どもたちの姿を見た際に少年の姿になり、エマも骸骨を見て顔が青ざめたあとに、子供の姿に変化している。
サンプルはこれしかないため不十分ではあるが、「この空間において、恐怖を抱いた際に姿が変化する」というのは現状事実である。
そして、GFハウスでの鬼のボスの行動は、レイたちを怯えさせる目的でやっていると考えると自然な点が多い。
レイとエマを分断し、レイが罪悪感を負っている「出荷された子供たち」を目の前に出現させる。それを骸骨に変化させたりと、「恐怖を抱かせる」目的でやっていると見ると腑に落ちるし、精神が不安定になると姿が変化している、というのも今のところ例外がない。
そして、長期間さまよい何もわからなくて弱っている状態のレイが老いているというのも、精神的に弱い状態になっているから、ということが考えられるし、エマが居ないのも2人を追い詰めるために分断したと考えられる。
そして、長い間そうしているのならば、鬼のボスの目的が「恐怖を抱かせる、諦めさせる、その姿を眺める」といったことで、
「あそぼ」というのは、それをかいくぐって自分を見つけられるか、という挑戦なのではないかと考えている。
結論
扉の向こうの空間についていろいろ考えてみた。
まず、GFやシェルター、イザベラなどエマたちにとって印象深い情報が再現されていること、そしてその空間が鬼のボスによって好きに動かされているのはほぼ確実。
イザベラを骸骨にして「あそぼ」と迫っていることや、それと同時に空間が歪んでいることから、これらは彼による干渉だと考えられる。
そして、彼の行動の目的として、「恐怖」を与えることが考えられる。
恐怖を抱いた際にレイたちは子供の姿に変化していて、精神状態によって姿が変化する空間であることが推測できるし、ボスの動きは恐怖を誘発させるものだと見ると、一貫性があるだろう。
結果として、長年この空間をさまよい続けたと考えられるレイは、かなり精神的に弱っているし、老いた姿に変化しているからだ。
その上で、七つの壁の場所のヒントも与えたということは、この無秩序な空間の中で精神が弱る前に自分を見つけられるか、という勝負が目的で、それこそが「あそぼ」ということなのではないかと考えている。
おわりに
もうすぐ配信します。Youtubeの予定。
こんにちは。考察とても興味深く読ませていただきました。
今週号の本編は短めだったけど(カイウ先生の体調不良によるものなんでしょうか?)、なんだか、面白かったですね。
シェルターの空間では、ドアを開けるたびに見た目の床や天井の方向が変わっていたけど、レイとエマにとっての重力の方向は変わっていなさそうですね。ドアを開けたとたん身体がぐるりと方向を変えるようなシーンは今回見当たらなかった気がします。たまたま、そういうシーンがなかっただけなのかな…?
部屋にあるものはエマたちが受けている重力とは関係なく、椅子やテーブルが落ちてくることもなかったし…今回の場所は物理法則ではなくて、ほぼ投影技術だけなのかな?と思いました。実際に体に触れる扉やなんかは別として。
矢印の出現は、レイとエマの行動で何かのフラグが立ったから出てきたのかな…とかおもいました。脱出ゲームっぽく。
すごく面白いところで一回お休みですが、カイウ先生のお身体が心配ですね。
作画の、ぽすかさんではなく、原作のカイウさんの方の体調が悪いのでしょうか?。
原作のストックは、できるだけ先まで、作画の人に送っておく方が良いので、
作画の人が体調が悪いならともかく、原作の人の体調が悪いのは、アイディアが尽きたということみたいです。
今までのアイディアをもらった分で、作画のぽすかさんがマンガの形にまとめたと思います。
何かの形で、マンガという形で完結まで、ネバランを完成させて欲しいです。