週刊少年ジャンプ 2019年14号
約束のネバーランド 第125話 嘘吐きの同盟 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
145話では大きく考察が発展する要素がなかったので、リクエストいただいたテーマを考察していく。
今回コリさんからいただいたのは、「ギーラン家」と「ムジカ・邪血」との関係について。
この2つには、実は共通点が多い。
ギーラン家が追放されたのも、邪血が記録されたのも700年前の出来事。
そして、回想にて現れたギーラン(あるいはそれに近しい鬼)の髪がムジカと似ている。
週刊少年ジャンプ 2019年31号
約束のネバーランド 第140話 来たよ! より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
このあたりから、ギーランが追放されたのは邪血が関係しているのではないか?
邪血はギーランの家系から生まれたものなのではないか?などの疑問が生まれる。
なので今回は、ギーラン家が何故追放されたのか、邪血との関わりなどを考えていく。
ヒントになりそうな情報
まずは今わかっている情報からヒントを探っていく。
重要そうな要素は以下の通り。
【ギーラン】
1.ギーランは民のことを尊重していた元五摂家
2.700年前に何らかの罪を着せられ、野良落ちの刑を受けている
3.追放後はドッザ卿が後任となっている
4.現在はノーマンと協力、邪血を持つ王家・五摂家を狙っている
【邪血】
1.邪血を持つ鬼は、人を食べなくても形質や知能を維持できる
2.邪血の少女が現れ始めたのは700年前
3.王家・五摂家によって全滅させられ、全て食べられた
それぞれ簡単に見ていく。
【ギーラン】

週刊少年ジャンプ 2019年14号
約束のネバーランド 第125話 嘘吐きの同盟 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
1.ギーランは民のことを尊重していた元五摂家

週刊少年ジャンプ 2019年15号
約束のネバーランド 第126話 鼎談 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
ギーラン卿は、もともと鬼の政権の中枢である五摂家の1人。
当代のバイヨンいわく、
「(ドッザ卿よりも)ギーラン様の方が私は良かった」、
「あの方は美しく清廉で、真に民のことを考えていた」とのこと。

週刊少年ジャンプ 2019年31号
約束のネバーランド 第140話 来たよ! より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
それを聞いたプポやノウムも激しく否定していないことから、彼らにも思うところがあるようだ。
少なくとも、五摂家側の総意としての追放であるかというと、疑問が残る形だと言えるだろう。
2.700年前に何らかの罪を着せられ、野良落ちの刑を受けている

週刊少年ジャンプ 2019年14号
約束のネバーランド 第125話 嘘吐きの同盟 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
民のことを思う五摂家だったギーランだが、700年前に鬼社会から追放されている。
何らかの罪によって、一族全員が「野良落ち」の刑に処されている。
「無実だ」「謀られた」という言葉から、あらぬ罪を着せられたために起きたことだろう。
3.追放後はドッザ卿が後任となっている

週刊少年ジャンプ 2019年20号
約束のネバーランド 第131話 入口 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
ギーランが追放された後、彼の後任となったのはドッザ卿。
追放によって成り上がった形なので、現状この騒動で最も得をした鬼と言っていい。
4.現在はノーマンと協力、邪血を持つ王家・五摂家を狙っている

週刊少年ジャンプ 2019年14号
約束のネバーランド 第125話 嘘吐きの同盟 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
そして、追放されてから700年経った現在でもギーランは生きている。
量産型農園から食用児や鬼を盗難することによってなんとか形質を維持してきた。
ノーマンと同盟を組み、王家と五摂家を殺すことと、彼らから邪血を奪うことを狙っている。
【邪血】

週刊少年ジャンプ 2019年16号
約束のネバーランド 第127話 対立 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
1.邪血を持つ鬼は、人を食べなくても形質や知能を維持できる
邪血の少女・ムジカは人間を食べたことがないのに、人型を維持している特殊個体。
そして、彼女の血を一滴でも摂取することで、その体質は他の鬼に伝播していく。
2.邪血の少女が現れ始めたのは700年前

週刊少年ジャンプ 2019年16号
約束のネバーランド 第127話 対立 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
そんな彼女たちが現れたのも700年前。
ギーラン家の追放と同時期であるため、追放と関連がある可能性が高い。
3.王家・五摂家によって全滅させられ、全て食べられた

週刊少年ジャンプ 2019年16号
約束のネバーランド 第127話 対立 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
邪血の噂を聞いた王家・五摂家は調査を行った。
「彼らの話が本当なら民の飢えをなんとかできる。農園の今後にも役立てるかもしれぬ」
と当初は考えていたが、そうはならなかった。
王家・五摂家にとって、民が農園を不要とすることは許容できなかった。
民が人間を食べなくてよくなるなら、農園の価値は著しく下がる。
それに伴って、王家や五摂家といった貴族の支配力が弱まってしまうからだ。
それを危惧した王家と五摂家は邪血の少女の一族を襲い、全滅させた。
そして、自ら彼らの肉を食べることによって邪血をも自分のものとした。

週刊少年ジャンプ 2019年16号
約束のネバーランド 第127話 対立 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
王家・五摂家は邪血の体質を得たはずだが、元五摂家だったギーランは邪血の体質を得ていない。
つまり、この邪血襲撃にはギーランが関わっていないものと考えられる。
このあたりをふまえて、コリさんからいただいた説や僕の考えを見ていく。
コリさん説
まずは、リクエストをいただいたコリさんの説について。
今回は僕が要約したが、全文を読みたければこちらから見て欲しい。
バイヨンの回想に出てきたムジカのような鬼。
これはギーランではなく彼の夫人。そして彼女は邪血を持っていた。

週刊少年ジャンプ 2019年31号
約束のネバーランド 第140話 来たよ! より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
悪用を恐れ公にはしなかったが、王家や五摂家に邪血の情報が漏洩。
何者かに誘い込まれ、襲われてしまう。
邪血を食べた際に真ん中に置かれた鬼は、ギーラン夫人のものではないか……という説。

週刊少年ジャンプ 2019年16号
約束のネバーランド 第127話 対立 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
身内に邪血がいることを隠していたから狙われた、という説。
完全にないとは言えないが、ギーラン卿自身が邪血を持っていないことが大きな疑問。
家族に邪血がいるのなら、その体質を得るのが妥当だろう。
そして、ギーランが邪血を持っていることを王家や五摂家などの黒幕が知っていたのなら、「野良落ち」という罰は与えないだろう。
なぜなら、邪血を持っているのなら「野良落ち」など何の意味もない。
人間を食べなくても形質を失うことはないからだ。邪血を民に与えないという意味でも、処刑が妥当かなと。
だったら、追放も邪血も700年前の出来事という符合は何の意味もないのか?
考えてみると、そこは関係がありそうだったのでまとめていく。
ギーランの追放と邪血の関係とは
では、ギーランの追放の理由は何か?邪血との関係はあるのか?ということについて。
考えてみた結果、おそらくギーランの追放と邪血は関係がある。
ただ、ギーランと邪血が直接関わったというわけではない、という可能性が高そうだ。
どういうことか?
ギーランは、「邪血を滅ぼし独占する」という王家の方針に反対した。
だからこそ政権から追放されたのではないか、というシンプルな結論だ。
根拠となる要素がいくつかあるので解説していく。
まずはシンプルに、「民のことを真に考える」鬼だったのであれば、邪血を独占するという選択肢はないはずだ。
本来は、「民の飢えを何とかする」ために調査を始めたはずが、飢えを解消する手段(=邪血)を根絶やしにする話にすり替わっている。
民のことを思うのであれば、供給が立ち行かない区域に限って邪血を提供するなどの制度を作るのが妥当だろう。
しかし王家はそうしなかった。ギーランがバイヨンの言う通りの鬼だったのであれば、王家の方針に反対する可能性が高い。
だが、王家や五摂家の独裁を良しとしないギーランを、彼らは許すだろうか?
ともすれば謀反を企てるかもしれない不穏分子を放っておくだろうか?
権力を脅かす存在となりうるギーランを政権から追放したいと考えるのが自然だ。
となると、あらぬ罪を着せるという行動に出ることも妥当と言っていい。
一方で、成り上がったドッザ卿。彼は邪血の絶滅に従っている。
ギーランの後任として、王家・五摂家の思想に反対しないという点で問題がないだろう。
というわけで特に複雑なことはなく、
ギーランは王家の思想・利益を脅かす存在だから追放された。それは邪血の虐殺がきっかけに起きたことである。
というのが自然そうかなと思っている。
結論
リクエストをいただいた、ギーランの追放と邪血の発見の関連性について考えてみた。
どちらも700年前、そして回想に出たギーランの髪型がムジカと似ているなど、共通点が多い事柄だ。
ギーランが邪血を隠していた、関連が深かったことが原因だという可能性はないとは言えない。
しかし、ギーラン卿自身は野良落ちによって形質を失っている。つまり、邪血を持っていない。
邪血と近しい存在だったなら、それはありえないだろう。
そして、邪血との関わりを隠していたことを知られたのなら、王家などの「野良落ち」という処罰は適切ではない。
ギーランと邪血が関わっていたなら、彼も邪血を持っていると考えるのが妥当。
ならば野良落ちは絶対にしないので、処刑するべきだ。
では、同じく700年前に起きた出来事だという共通点はないのだろうか?
ここには関連性がある可能性が高いと考えている。
結論としては、
ギーランは邪血を皆殺しにするという王家の方針に反対した。
王家や五摂家の思想に反するものを政権中枢に置くことはできないから、罪を着せて追放したのではないかと。
これであれば、真に民のことを考えていたというギーランの行いにも矛盾せず、無実の罪を着せた犯人などがはっきりしている。
起こっていることに説明がつくので、現状これが妥当だと考えている。
おわりに
本日も配信をした。
→145話伏線・考察まとめ配信ログ(2019年8月5日放送)
王都を滅ぼす方法や副作用などについて話したのでぜひ見て欲しい。
管理人さまリクエストに、答えていただきありがとうございます!
読んでみてまた別の考察が頭に浮かびました!
追放の理由が「濡れ衣」だからこそ真実が見えないですね。
700年前というワードも、おおよそ100年間のことを指しているのなら結構長い期間ですし…。
すごく情報を整理することができました!
ありがとうございました。
管理人さん、こんにちは。
最新の考察記事2つ、とても興味深く読ませていただきました。
特に、145話考察記事の方で考察されていた、アダムが苦しんでいない理由。
彼が完成品だからということに、なるほど!と、目が覚める思いでした。
だとすれば、研究所には発作が起こらないようにするノウハウがあったのかもしれませんね、
いよいよクライマックスですね。
ノーマンが連れている、このフクロウも、千年前ユリウス・ラートリーが連れていたフクロウの直系なのかな…とか、感慨深く、今週号を読みました。
今年は暑さと湿度が、結構すごいですね。本州から見たら、大したことはないのかもしれないけど、わたしはもうバテバテです。
管理人さんも、お身体をお大事になさってください。
また、次回の考察を楽しみにしています。