もう1つの約束のための”ごほうび”は「きみの――」何?エマの払う対価を考察【最新版】

週刊少年ジャンプ 2019年34号
約束のネバーランド 第143話 抹殺 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか




今回は、エマが要求された”ごほうび”についての再考察。

もう1つの約束のために、エマは一体何を支払うのか?ということについてだ。



前回の結論も悪くはなかったが、まだ他にもありそうだったので考えていた。

そこで、最近1つ思いついた説を考えてみたところ、かなりアリだったので、それについてまとめていく。



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ヒントになりそうな情報


まずは改めて、今分かっている情報からヒントをまとめていく。

重要そうなのは、以下の通り。


1.鬼のボスへの願いとその代償

2.1000年前の”もう1つの約束”の内容

3.”ごほうび”は大切なものがいい

4.エマの願い・望み・狙い

5.エマが求められたのは、「きみの――」何か



それぞれ簡単に見ていく。


1.鬼のボスへの願いとその代償





週刊少年ジャンプ 2019年32号
約束のネバーランド 第141話 1000年前の”約束”① より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか



七つの壁を超えて昼と夜へ到達した鬼や人間は、鬼のボスへ願いを叶えてもらうことができる。

それこそが、ペンに記されていた”もう1つの約束”。

「世界を2つに分ける」という超常的な願いでも叶うと同時に、鬼のボスから”ごほうび”を要求されてしまう。

それはルールによって、断ることが出来ない。


2.1000年前の”もう1つの約束”の内容




週刊少年ジャンプ 2019年33号
約束のネバーランド 第142話 1000年前の”約束”② より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか


では、1000年前に結ばれた、”もう1つの約束”はどんなものだったのか?

イヴェルクとユリウス・ラートリーは、”鬼と人間の約束”のために、「世界を2つに分ける」ことを願った。


その代償として、イヴェルクには「その年に実った一番いい肉を献上する」。

そして、ユリウスは「ラートリー家が2世界間の調停を行い続ける」ということを言い渡された。




週刊少年ジャンプ 2019年33号
約束のネバーランド 第142話 1000年前の”約束”② より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか


ここから分かることは2つ。

1つは、”ごほうび”自体は”願い”を邪魔していないということ。

「世界が分かれる」ことは問題なく行われた上で、別のことを要求している。

なので、今回の約束も、エマの望みは叶った上で何か別のものを要求されると考えられる。


そしてもう1つは、”ごほうび”として実益・リターンがあるということ。

要するに、もらって嬉しいものであるということだ。

鬼であるなら最良の人肉は嗜好品として良いものだし、調停役はその人肉の確保に必須となるものだろう。

そのため、エマへの”ごほうび”も、何か鬼のボスにとって得があるものと考えられる。


3.”ごほうび”は大切なものがいい




週刊少年ジャンプ 2019年33号
約束のネバーランド 第142話 1000年前の”約束”② より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか



そして、鬼のボスは”ごほうび”に関してこう言っている。

「”ごほうび”はね たいせつなものがいいよね」

「野望 欲望 渇望 もらうならあいてのたいせつなものがいい」と。


どういうことか?これは、1000年前の約束を見るとよく分かる。

イヴェルクや貴族鬼は、いい肉を貴族が独占するという欲のもと約束を結ぶに至ったわけだが、一番いい肉は鬼のボスによって奪われてしまう。

そして戦いが終わることや、精神的な安寧を求めて友人さえも捨てたユリウスには、ずっと鬼と人間の2種族に関わり続けるということを要求した。


つまり、エマも何か彼女にとって大切なものや、望みが奪われてしまうということがほとんど確定している。


4.エマの願い・望み・狙い


では、エマが鬼のボスに望んだことは一体何か?

もう1つの約束として鬼のボスに叶えてもらう願いは、

「食用児全員で人間の世界へ行きたい。それを最後に二世界間の行き来を完全に不可能にして」というものだ。



週刊少年ジャンプ 2019年33号
約束のネバーランド 第142話 1000年前の”約束”② より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか



上に書いたように、これはほぼ間違いなく叶うだろう。1000年前の、世界を2つに分けるという願いは今も続いているからだ。


しかし、その先にあるエマの本当の願いや、それに関わる大切なもの。

それはエマの場合、「家族を助ける」ことから始まり、「全食用児の解放」まで発展。更には「鬼の絶滅を回避する」ということ。



約束のネバーランド 11巻 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか



すなわち、「人間と鬼が、争わずに生きていける世界」を目指すことだ。

そのためにエマはノーマンを止めようとしているし、昼と夜へと向かったのだ。


ここまでのヒントと照らし合わせると、「食用児全員が人間の世界へ行き、世界の行き来ができなくなる」という願い自体は叶うだろう。

しかし、その先の、エマが本当に目指したもの、望んだことを鬼のボスは奪う可能性が高いだろう。

何故なら、それこそがエマにとっての「大切なもの」だからだ。


5.エマが求められたのは、「きみの――」何か


そして、実際にエマが”ごほうび”として求められたものは何だったのか?

これは一部分だけが明かされている。



週刊少年ジャンプ 2019年34号
約束のネバーランド 第143話 抹殺 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか



鬼のボスはエマを指差し、「ぼくがほしい”ごほうび”は きみの――」と何かを要求した。

つまり、エマが持っているものや、彼女の周りにあるもの。それが要求されていることが分かっている。

なので今回のごほうびは、世界をどうこうする、人間の世界へ影響する、といった複雑なことではなく、あくまでエマが関係していることや、彼女が大切にしているものが求められていると推測できる。



これが今分かっている”ごほうび”に関する情報だ。

ここをふまえて、”ごほうび”の内容が何なのか?ということを改めて考えていく。






エマが要求された”ごほうび”は「きみの――」何?


それでは、エマが要求された”ごほうび”が何なのかを考えていく。

もう1つの約束とごほうびについて、上のヒントから分かっている情報は、以下の通り。


・約束として願ったことは叶えられるし、邪魔されることはない

・しかし、本来の目的や願い、あるいは大切なものを奪う要求が”ごほうび”



これが今、抽象化できる範囲だろう。


では、実際のエマの望みと、彼女に対する”ごほうび”はというと、以下のようになる。


・全食用児で人間の世界へ行き、二世界間の行き来ができなくなる

・そうすることで、「両種族が存続する」「全食用児を解放する」「家族が笑顔で暮らせるようにする」という、「人間と鬼の平和」を実現しようとしている

・しかし、代償としてエマの持つ何かを要求された



このもう1つの約束とごほうびを、今回のエマの場合に当てはめるとおそらくこういった約束になる。


「全食用児が人間の世界へと行き、それを最後に二世界間の行き来ができなくなる」という望みは確実に叶う

しかし、エマがその先に望んだ、「家族や食用児を解放する」「両種族の共存」を邪魔するような”ごほうび”が要求される。

そしてそれは、エマと関連する「大切なもの」を奪うことで成立する。


これが、現状最も詳細な”もう1つの約束”の実態だろう。

全食用児は人間の世界に行くし、行き来もできなくなる。でも、エマの望みは叶わないか邪魔されてしまう。

そんな要求が”ごほうび”と言えるだろう。


だいたいエマと鬼のボスの”約束”がこういうものだろう、と分かったところで、いよいよ実際には何を要求されたのかを考えていく。


1.家族や食用児の命を奪われる


エマの大切なものは、やはり家族や仲間。まさにそのものである命を奪われてしまうというのは、真っ先に考えることだろう。


ただし、これはかなり考えづらいパターンだ。

何故なら、「”全食用児で”人間の世界へ行く」という、エマの要求と矛盾する。

1000年前から世界が2つに分かれる、ということ自体は続いているため、同じようにここは確実に叶うと見ていいだろう。

そうじゃなければ、さすがに交換条件にもなっていない。


同じように、エマ自身の命も考えづらい。これも全食用児という言葉と矛盾してしまうからだ。


2.エマの記憶を奪う


次に、エマの記憶が奪われてしまうというパターン。

エマの身体は人間の世界へ行くけれど、行った先でエマは何もわからなくなってしまう。

家族の安全が確保されたことがわからなくなってしまうし、エマの記憶がなくなれば、家族も笑顔にならないだろう。

世界の行き来は問題なくできるが、家族の笑顔や、エマが大切にしていたものが失われてしまうのだ。


気になるのは、この”ごほうび”が鬼のボスにとって得があるかということ。

1000年前は鬼にとって重要な「最上物の人肉」を求め、それを確実に得るための「調停役」を立てた。

つまり、かつての”ごほうび”は鬼のボスのためになっているものだった。


しかし、エマの記憶はどうだろう。

エマを見て「おいしそう」と言ってはいるが、それは食べ物としての価値を感じているにすぎない。

記憶を奪うということだけでは食べることができないし、メリットもあまりないだろう。


大切なものを奪う、ということ自体に価値を感じている可能性はもちろんあるが、それだけとも現状言い難い。

そのため、若干考えづらいかなと言ったところ。


3.エマの身体と鬼のボスの身体を入れ替える


そして、鬼のボス自身がエマと入れ替わるというもの。

「自分がエマという食用児になる」ことによって、「エマを鬼の世界へと置き去りにし、自分が人間の世界へ行く」。

こうすれば、「全食用児が人間の世界へ行く」ことができるし、エマは大切な家族や仲間と二度と会うことができなくなってしまうのだ。


鬼のボスは「あそぼ」と言っていることから、退屈していた可能性がある。

つまり刺激を求めて人間の世界へ行こうとする可能性はあるだろう。


エマの大切なものを奪いつつ、自身が自分の世界へ行くというリターンを得る。

記憶よりも鬼のボスにとってのメリットがあるだろう。

「きみのからだと、いれかわりたい」と、文脈も問題なくつながるため、十分有力そうだ。


とはいえ、鬼のボスが人間の世界へ行くことを望んでいるだろうか?

ここには検討の余地がある。

まず、時空を操ることができる彼が、人間の世界へ行ったところでそれはメリットになるのか?

もちろんないとは言えないが、不便になることのほうが圧倒的に多いわけで、メリットかどうかは鬼のボスの感性次第だ。

そして、まず、ソンジュは「約束を破るなら(エマたちは)とうに鬼のボスの敵だ」という発言より、現状の約束を重要視している可能性がある。

そのあたりを考えると、ちょっと苦しい説かなと考えている。


4.エマの身体を鬼にする


そして最後に新説。「きみのからだを、おににする」というもの。こうすると、「全食用児の移動」は叶う。

その上で、エマは食用児ではなくなっている(鬼になっている)ため移動できないという解釈や、もし食用児とみなされ人間の世界へ行けたとしても家族には恐れられてしまう可能性が生まれる。

つまり、エマの要求は叶った上で、彼女の大切な家族とは離れ離れになってしまう(最悪、自分が食べてしまうかもしれない)という大きなリスクが発生する。

これは、「願いを叶えた上で、最終的な望みを奪う」という条件にしっかりと合致しているのだ。



しかし、これも鬼のボスにとってごほうびかというと、そうではない。

何故なら、鬼のボスから見ると、エマ1人が鬼になったところで良いことは特にないからだ。

上の記憶や入れ替わりと同様、メリットという点でケチがついてしまった。



……と思いながらツイートしたところ、ジャンプ感想勢の鈴木宏(@saxblue13)さんからリプライをいただいた。



天才現る


注目すべきは、エマを”邪血の”鬼にするということ。

これならば、もう1つの約束の全ての要素を満たすことができる。


全食用児の移動を叶えた上で、エマは鬼となっている。すなわち、食用児ではないため彼女は人間の世界へ行くことが出来ない。

そしてそれは、彼女にとって家族とのふれあいを満たすことができないということにつながり、彼女の大切なものや最終的な望みを奪われている。



ここまでは、先程までの説と大きな違いはない。

では、鬼のボスにとってのメリットはどうか? なんと、これならば、彼にとっても大きなメリットがあるのだ。



約束によって食用児がいなくなるということはつまり、知性鬼は減り、共食いで鬼は滅びゆくことになる。

そうなると、鬼のボスを崇める鬼が存在しなくなってしまう。それは彼にとって、”ごほうび”を得る機会が減るということにつながっているのだ。

そこでエマを邪血の鬼にして、知性鬼を存続させる役目を負わせると知性鬼は存続することになる。

彼女に、「鬼のボスからの使いである」と言わせれば、ボスへの信仰心も上がりなお良い。


というわけで、「エマを邪血の鬼にし、知性鬼を存続させる」

こうすることで「食用児を人間の世界へ行かせ、世界の行き来を不可能にする」ことが可能となり、エマは大切な家族との時間を奪われる。

そして、鬼のボスは知性鬼が存続することで、”ごほうび”を得る機会を失わずに済む……と、現状必要な要素全てに説明がついている。

なので、今のところ最も有力な説だと考えている。



以下に結論をまとめた。



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結論


改めて、もう1つの約束と、エマが要求されたごほうびについて考えてみた。


1000年前のもう1つの約束から考えると、

「言った望みは叶えた上で、その先の目標や、大切なものを”ごほうび”として奪う」ものだと考えられる。


エマは「全食用児で人間の世界へ行き、二世界間の行き来を不可能にする」ということを要求した。

これは叶った上で彼女の全食用児の解放や、家族と笑顔で過ごすこと、両種族の存続といった望みが、”ごほうび”(エマに関連する何か)によって邪魔される。

これが、今回のもう1つの約束で彼女に起こることだと考えられる。


このあたりの条件をまとめて考えると、まず記憶を奪うことや、エマの肉体を入れ替えるということが考えられる。

どちらも食用児は人間の世界へ行くことができるが、エマ自身は家族と離れてしまうことになる。

とはいえ、記憶や入れ替わりは、鬼のボスにとって得があるかというと、首をかしげざるをえない。


では何かないかと考えたところ、「きみのからだを、おににする」という要求が思いついた。

これは、エマが食用児ではなくなるため人間の世界へ行くことが出来ないとか、もし人間の世界へ行けても、家族に受け入れられないというマイナス要素がある。

しかしやはり、鬼のボスにとってのメリットはあまりない。エマ1人がただの鬼になったところで、何も変化はないからだ。


ここで、Twitterで「邪血の鬼にする」というご意見を頂いた。

これならば、鬼のボスにとっても大きなメリットがあるため、すべての要素を満たすことができる。

今回のエマの要求で、鬼の世界に人間はいなくなってしまう。それはつまり、鬼のボスを崇める、知性を持った鬼がいなくなることを意味する。それは彼にとって、”ごほうび”を得る機会が減ることを意味する。

そこで、エマに邪血を持たせ、鬼を救う役割を負わせる。そうすれば、知性鬼は存続し、鬼のボスは崇められ続けるし、”ごほうび”を得る機会も失わずに済むだろう。


以上のことを考えると、現状いろんなことに説明がつくため、「エマを邪血の鬼にする」という説が最も有力だと考えている。



おわりに


本日も配信した。

149話伏線・考察まとめ配信ログ(2019年9月9日放送)


149話について考えたことを話したので、ぜひ見て欲しい。







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