約束のネバーランド 12巻 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
151話もバトルがメインで、深く考察する要素がなかった。
なので今回も未回収の謎について考えていく。
前回は、邪血が何故生まれたのか?という視点から、最大の謎の1つである、ムジカのことを考えてみた。
彼女について別の視点から考察できないかと検討した結果、彼女の持っていた”お守り”が気になったので、今回はそれを掘り下げてみる。
クヴィティダラの竜の目に酷似したお守り。
このお守りがどんな意味を持つのか?そして、彼女が何故持っていたのか?
このあたりが見えてくると、ムジカが一体どんな存在なのかということに近づけるので、今回は彼女の”お守り”について考えていく。
ヒントになりそうな情報
まずは、今分かっている情報からヒントになりそうな要素をまとめていく。
重要そうな情報は、以下の通り。
1.ムジカがエマと別れる際、七つの壁を探すように言ってお守りを渡した
2.ソンジュには内緒で渡している
3.エマだけがクヴィティダラで、昼と夜の光景を見た
4.お守りとしての機能は、まだはっきりと発揮されていない
それぞれ簡単に見ていく。
1.ムジカがエマと別れる際、七つの壁を探すように言ってお守りを渡した
ムジカがエマにお守りを渡したのは、GF付近の森で彼女たちと別れるとき。
エマの目的を聞いたムジカが、「七つの壁を探しなさい」と進むべき道を示した。
その際に、「これはお守り きっとあなたたちを守ってくれる」と、件のペンダントを渡している。
重要なのは、ムジカはエマを助ける意志がはっきりとあるということ。
(エマたちに慈悲を 私の友達に光を)と、モノローグからそのことが分かる。
そんな彼女がお守りを渡したということで、エマの目的(=食用児や家族を助ける)ことに有用なものであるということはほぼ確実だろう。
2.ソンジュには内緒で渡している
そして、もう1つ気になる要素としては、ソンジュに内緒で渡しているということ。
別れる時点では、ソンジュの目的である「鬼の世界で人間を繁殖させ、原初信仰でも食べられるようにする」ということを、ムジカは知らない。
それなのに隠しているということは、以下の可能性が考えられる。
a.単純に、人間を助けたソンジュに不審感を持っていた
b.本来、ムジカが持っているはずがないものである
c.渡したことが分かるとソンジュに不都合がある
……など。ここに関しては、様々な要素が絡んでくるためなんとも言えない。
が、「ソンジュに内緒にする理由があるかどうか」ということは、判断要素の1つとなるだろう。
3.エマだけがクヴィティダラで、昼と夜の光景を見た
そして、このお守りの模様はクヴィティダラにあった遺跡や、昼と夜にいた竜の目と酷似している。
クヴィティダラに関する伝承として、
「クヴィティダラには竜がいて、その目は何でも見通す」とされている。
そして実際、エマはクヴィティダラで昼と夜へ行き、金の水のヒントや過去の光景を見ている。
これがお守りによるものかは不明。後でそこを検討する。
4.お守りとしての機能は、まだはっきりと発揮されていない
「きっとあなたたちを守ってくれる」と渡されたペンダントだが、エマを助けたかどうかははっきりしていない。
これまでもエマは命拾いをしているが、このペンダントとの因果関係は一切不明である。
というあたりをふまえて、このペンダントについて考えていく。
ここまで見ると、はっきりとした効果も、クヴィティダラとの因果関係も、何故ムジカが持っているのかも、何も分からないという悲惨な状態。
なんとか、1つずつ考えていって、答えに近づいていこうと思う。
ムジカのお守り・ペンダントの意味・効果とは?
まず、ムジカの渡したペンダントの効果や意味について考えていく。
ほとんど何も分からない状態なので、些細なことからでもはっきりさせていこうと思う。
1.このペンダントは、エマにとって役立つものである
先程見てみたとおり、彼女はエマの目的のために、これを渡した可能性が非常に高い。
実際、「七つの壁を探しなさい」というアドバイスも、エマの家族を救うために必要なものだった。
つまり、「エマにとってプラスになる」ものである、ということがまず1つはっきりとしていることである。
2.クヴィティダラでの出来事は、お守りが関係しているのか?
その上で、このペンダントがはっきりと効果を発揮した描写は、現状ない。
唯一関連がありそうなのは、クヴィティダラでの出来事なので、ここについて考えていく。
クヴィティダラでエマは、昼と夜を訪れた。
そこで過去の光景と、昼と夜へ至るためのヒント(手順を示した寺と、金の水の場所)を見ている。
これが、クヴィティダラで起きた一連の現象だ。
これに関して、ムジカのペンダントが関係している可能性は、かなり高いと言える。
根拠となるのは、以下の点。
a.ペンダントを持っていたエマだけが、昼と夜の光景を見ている
まず1つは、ペンダントを持っていたエマだけが、昼と夜を訪れたということ。
エマ以外にも、レイやドンたちがいたにも関わらず彼女だけが見ている。
エマと彼女以外の相違点としては、ペンダントを持っていたか、石に書かれた目のマークを見たか、ということだけ。
後者が要因である可能性はもちろんあるが、他の根拠も合わせるとペンダントが優勢かなと。
b.何でも見通す、竜の目との酷似
また、昼と夜にいた竜の目と似ているという点が偶然とは考えづらい。
「何でも見通す」という力があるという伝承と、エマが「昼と夜」「そこへ至るためのヒント」(=望むもの)を見たという現象も「見る」という能力で合致している。
c.ムジカが渡した目的と合致する
そして、ムジカがペンダントを渡した際の言葉。
「七つの壁を探しなさい」、と彼女は言った。
そのために役立つからこそ、このペンダントを渡したというのは自然な流れだろう。
以上のことを考えると、「クヴィティダラにおいて、竜の目のように何かを見通すための道具」としてムジカは渡したのではないか、と。
他にこのペンダントの能力と関連付けられる要素はないため、この方向で検討していく。
ではもし、このペンダント・お守りが「クヴィティダラ」で何かを見るための道具だとすると、どんなことが言えるだろうか?
気になるのは、クヴィティダラがもう既に”廃れてしまっている”こと。この2つの要素を合わせると……?
もし、クヴィティダラの遺跡で”昼と夜”を見るものだとすると……?
かつて、クヴィティダラにはみんなが竜の目を欲しがって押し寄せたという。
エマが昼と夜で見た過去の光景においても、鬼がクヴィティダラの遺跡で祈りを捧げていた。
しかし現在は、遺跡は崩れて寄り付く鬼はいない。
見通す力がなくなったからだろうか?……いや、それでもエマは過去の光景を、昼と夜へのヒントを見ているのである。
何故か? このペンダントを持っていたからだ。このお守りさえあれば、何かを見通せる可能性は十分あると言える。
つまり、クヴィティダラが廃れたのは、「このペンダントが手に入らなくなってしまったから」ではないだろうか。
何らかの原因でペンダントが失われ、一般的な鬼はクヴィティダラの恩恵を受けられなくなってしまった、と。
そして、そんな貴重なものだとすると、ソンジュに内緒で渡すということにも納得がいく。
もしこのペンダントがクヴィティダラの恩恵を受けるために必要なものだとすると、現状に即する説はこれしかないだろう。
何故ペンダントは失われたのか?
では、何故ペンダントはなくなったのか?
これに関しては、ほとんど推測の域でなんとも言えない。
しかし動機があるのはやはり王家・五摂家。
独裁政治をするとなると、「何かを見通す力」が一般的に使えるというのは非常にマズイからだ。
実際にペンダントを奪うことができる存在であることもふまえると、現状かなり有力だと言える。
そんなペンダントを、何故ムジカは持っていた?
では、クヴィティダラで何かを見るために必要なお守り。
それが手に入らなくなってしまったのだとすると、そんな貴重なものを何故ムジカは持っていたのか?
いくつかのパターンが考えられるので、それぞれ検討していく。
1.王族・五摂家に近い存在だった
まず、ムジカが王族や五摂家といった存在に近かったというパターン。
一般的な鬼からはペンダントを奪うだろうが、身内からは没収しないことが考えられる。
が、これはかなり考えづらい。
何故なら、ムジカという特殊個体のことを、王族や五摂家は知らなかった。
ギーランが噂で聞きつけるまで、彼女の存在は知られていなかったため、王族や五摂家に近い存在だったわけではないだろう。
2.王族や五摂家に襲われた際に奪った
ムジカたち邪血の少女の一族は、王家・五摂家によって襲撃を受けている。
その際に、このペンダントを奪ったのではないかという説。
完全にないとは言えないが、基本的には考えづらい。
何故なら、邪血の少女の一族はムジカたちを残して全滅している。
すなわち、戦力差は相当なもの。そんな鬼との戦闘中に、何かを奪うということは難しいだろう。
3.鬼のボスと近い存在である
あるいは、竜と一緒にいた鬼のボスと近い存在である、という可能性。
鬼のボスと竜の目は一緒に祀られていることから、関連が深いことは確か。
その上で、ムジカも彼らと近い存在だとすると、力の一端を持っているという可能性はある。
……が、彼らと近い存在だからと言って、ペンダントを持っているかというのは別の話。
現状、特に裏付けもないため考えづらい。
4.村を救って、謝礼としてもらった
最後に、絶滅しそうな村を救った際にもらったというパターン。
現状、最も単純で最も有力。
餓死しそうな村であれば、クヴィティダラへ向かう気力もない。つまり、貴族たちはペンダントを奪う必要もない。
であれば、ムジカたちが助けた鬼が持っている可能性は比較的高いだろう。
そして、物資に困る、助けられた鬼が出せるお礼としてはこれ以上ない。
というわけで、ムジカが村を助けた礼としてもらったというのが現状妥当そうだ。
とりとめがないが、ムジカのお守りについていろいろ分かってきた。以下に結論をまとめていく。
結論
ムジカから渡された”お守り”が一体何なのか、何故そんなものを持っていたのか?ということについて考えてみた。
現状、はっきりとした効果は分かっていない。
もしかしたら、ペンダントの効果かも……と思う描写はあるが、はっきりと関連性が描かれているわけではないからだ。
しかし、クヴィティダラでの一連の出来事は、ペンダントが関連していないとは考えづらい。
ペンダントを持っていたエマだけが、昼と夜や金の水の場所、天井絵のある寺の場所に、過去の光景を見ているからだ。
これは、ペンダントの模様がクヴィティダラの遺跡、そして竜の目と似ていることや、竜の目が持つという「何でも見通す力」と、起こっていることが合致する。
更に、これを渡したムジカの「七つの壁を探させる」という目的とも綺麗に一致するのだ。
このあたりから、このペンダントは、「クヴィティダラの遺跡で、何かを見通すために必要なもの」だと考えられる。
もしもそうならば、遺跡が廃れていたのもこのペンダントが原因なのではないか?
エマは現代においても、望むものを「見通している」。しかし、遺跡は廃れ、誰も寄り付かない……。
つまり、遺跡自体が機能を失ったのではなく、遺跡の機能を発揮するためのペンダントが手に入らなくなった、と。
何故、ペンダントが手に入らなくなったのか?これについても、心当たりがある。
王族や五摂家は、約束とともに独裁政治を目論んだ。
それにおいて、支配下に置く鬼が不都合なことを知っては困る。――だから、このペンダントを没収したのではないか。
こう考えると、それなりに筋は通る説である。
では、そんな中で何故ムジカはペンダントを手にしたのか?
これは単純に、助けた村でお礼としてもらったというのが現状最も自然だろう。
というわけで、ムジカのペンダントはクヴィティダラにおいて「見通す力」を発揮するために必要なものではないかと考えている。
ここが崩れてしまうと、これ以降の考察は筋が通らなくなってしまうが、現状大きく否定する要素はない。
クヴィティダラが廃れたのは、王族によってこのペンダントが流通しなくなってしまったから……と考えると、それなりに筋が通るだろう。
そしてムジカは、助けた村でそれを手に入れた、というのが現状ペンダントについて最も有力だと考えている。
おわりに
本日もこれから配信予定。
こんにちは。
何故遺跡が廃れたのか、ムジカが何故ペンダントを持っていたのか、成る程成る程!と読ませて頂きました。特に遺跡が廃れた理由はすごく納得です。それで読んでいて思い出したことが。
昼と夜へ行けたのはペンダントのおかげだと思いますが、少し疑問に思った事があります。それは、あの時レイ達もペンダントを持てば同じものが見れたのでは?という疑問。あのお方にはじかれたからそれは不可能なのかなとも思いましたが、そうすると、遺跡からアクセスした者はあの方に「入り口から来い」とはじかれてしまうという事に。
遺跡が使えなくなったのはペンダントの件の他にも、あのお方が遺跡からの訪問者をはじいて七つの壁とか入り口を作ったせい、と言うことも一因ではないでしょうか。と言うか多分元々あのお方はあそこにはいなかったんでしょうね。
あと考えたのは、竜がエマを呼んだという可能性。ジャンプ主人公にありがちな出生が特別で、とか選ばれし者、とか(笑)
ペンダントと竜の目ってほぼ模様?同じなので、ペンダントは竜の眼球スライスしたものなのかと思ってました。よく考えたら残酷だなそれ…。でももし眼球だとすると大きさからしてかなり小さい竜ですよね。
目のあの模様に理由があるのかとか、竜は一匹だけなのかとか、最初から昼と夜にいたの、とかまだまだ考えることがあって楽しみです。
連続で失礼します。
遺跡=昼と夜へ繋がる場所というわけではなくて、エマが望んだ結果昼と夜を覗けたということですかね。すみません。「クヴィティダラの竜の目で昼と夜を探すべし」が頭にあって、遺跡は昼と夜を結ぶ所だったと混乱してました( ̄▽ ̄;)
ところで昼と夜情報以外にも色々見えましたが、あれはエマが望んだものだったのか、何か関係する事だったので見えたのか気になる所です。
何やら悲劇的な展開になってきてるので、これからどうしたらいいのか再び遺跡でヒントをもらいたいくらいです(笑)
つばささん、くどうさん、こんばんは!
竜の目、ムジカ関連の考察、とても興味深かったです。
竜の町というのも気になりますね。
町と言うからには住人がいたのか、その住人はどこへ行ったのか…?
ムジカ以外の邪血の一族も(鳥かごの中のムジカの描写を見るに)かなりの人数いましたが、その人達も何処かからやって来たのか…。
邪血が見つかったのは700年前ですが、その際数人で旅をしている様でしたし、ムジカが1000年以上前から生きているかもしれない表現がありましたのでちょっと気になります。
>入り口から
私も、イヴェルクやユリウスはエマが入った入り口じゃないところから昼と夜へ行ったのかな?と考えてまいました。本当の入り口ではなくても竜の目を持っているだけで行けるなら、あの肩に乗ったデカいフクロウも行けるよね…と思ったのですが…。
果たして、それで約束を交わしてもらえるか?というと疑問ですよね。
かと言って、エマ達の様な手順を踏んで行ったとも考えてにくく…入り方が変わった?謎だらけ。
〉コリさん
こんにちは。
〉町と言うからには住人がいたのか、その住人はどこへ行ったのか…?
やっぱり住人がいたんですかね。鬼か人間かどちらでもない種族か。
そもそも「皆がその目を欲しがって」って竜狩りでもするの?と思ったら、遺跡が竜の目でお供え物して祈ってますしね。あと物理的に竜の目を欲しがったわけでなく場所としての竜の目を欲しがったの?とか何だかよく分からないです(゚∀゚;)
ユリウスと梟謎ですよね。梟に時間を巻き戻そうと意識出来るのか?あのお方の所への行き方は書き残されてるので、時間巻き戻したりとかは体感してるのかなとは思いますが…。
ところで、ユリウスがレウウィスの前で心折れた時ユリウスの目のアップがありましたが、目の中にあのお方の周りを飛んでいた魚みたいなのとか竜の目の模様っぽいのが見えた気がしました。何でもかんでも意味ありげに見えてきてしまってます(笑)
くどうさん、こんにちは!
>何でもかんでも意味ありげに
同じくですwww
昼と夜の水面への映り方、鏡映対象になっていると考えるとおかしな所がたくさんあります。
レウウィスに刺されて瀕死になった時、鏡映対称に写った水の中のエマが身体を押し上げようとしていますが、耳のない方向がいつもと同じ。つまり、実体の方は逆になってるんですよね…。(ただ、そっちが逆になっていることは分からないような描写をしている)
どっちが実体なの!?
両方左耳がなくて鏡映対称にすらなっていないの??
143話扉絵の水面に映るエマも同様で、夜のような背景に立つエマの耳もいつもと同じく左耳がない。
つまり、昼にいて水面に姿が写っているように見えるけど、実は夜にいる方が実体?
それともやはり鏡映対称ではないのか。
初めてクヴィティダラで竜を見た時も、水面に竜が写っていましたけど竜の背が見えるということは背を下にして飛んでるの?エマが逆さまになっているような描き方をしていましたけど、エマは見上げていたのでエマの上にいるんでしょう。もう訳わからん。
夜はやはり死の世界で、死ぬとそちらに実体が映るから反転しているのか??
…と思ったら、レウウィスの時に水の暗い下の方から泳いできたノーマンさん。ノーマンさんのくせ毛もやはり左側でいつもと同様。あの時何か言っていたみたいだけど何言ってたんだろう…。そして、水中から来たのでこの考え方だと彼は死んじゃってることになっちゃうんですよねwww
実際に死んでしまっているクローネは水面と水中どちらにおるのかわからない描写。そして水面にはママ…ママ生きてるのかな…。
昼と夜に、着いた時に近寄ってきたあの方の水面の姿は年齢がズレて移ってるし…。
…と、水面に鏡映対称になっている姿、左右反転のこととか考えていたら、136話扉絵の傘さしてる子供達の中に数字が変な子がいるという話。
紫色の髪の女の子の傘は、位置的に93194番の子供で3がクルクル回っているようにも見えて…エマの6が逆さまになって63194とも関連ある気がしてしまってwwwエマの数字が反転してる?的な。
もう、気になり方が完全に病気の域ですwww
楽しいんですけどねwww策にハマってますw
ダラダラと長文すみません;
ユリウスの目、確認してみます!!
みなさんいつもコメントありがとうございます。
◆◆入り口◆◆
うーん、レイたちが持ってたらどうなってたか、については彼らが持った描写がないので分からないですね。
今回の理屈でいくと、レイたちも見れたとは思います、としか。
別の要因については、今は考えようがないかなと思います。