週刊少年ジャンプ 2019年44号
約束のネバーランド 第152話 刻限 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
152話では、ノーマンたちが女王と五摂家を全て討伐。
その後、エマたちが到着し、手遅れになってしまった……というところまでが描かれた。
エマたちは全食用児の解放と、鬼の絶滅の回避が目的だった。
そのために、ノーマンたちが王家・五摂家を全滅させる前に約束を結ぶ――その必要があった。
しかし今回、残念ながらそれは叶わなかった。
そうなると、エマの目的・望みを叶えることは難しい。
鬼は政治を失い、毒によって退化が進んでいる。鬼が交渉に応じることはない。
なので食用児との戦いになることは避けられないし、邪血を全ての鬼に流通させるなど不可能に近い。
それに、ノーマンたちの説得も難しい。彼らの恨み、農園を全て潰すという目的を考えると、エマたちの行動は当然妨害される。
今の段階ではエマの「全食用児の解放+鬼の絶滅の回避」という目的は達成できない。
というわけで、ノーマンとの対立をなんとかして、望みを叶えるにはどうすればいいのかを考察していく。
ヒントになりそうな情報
まずは、今明らかになっている情報から、ヒントになりそうな情報をまとめていく。
各陣営について、重要そうな点は以下の通り。
【エマ】
1.エマの目的
2.もう1つの約束を結んで、全食用児で人間の世界へ行こうとしている
3.鬼の絶滅を避けるため、邪血で人間を食べなくてもいいようにしてから移動する
【ノーマン・ラムダの食用児】
4.ノーマンの目的
5.王族・五摂家を殺害
それぞれ簡単に見ていく。
【エマ】
1.エマの目的
まず、エマの目的について。
大きく分けると2つで、「全食用児の解放」と「鬼の絶滅の回避」だ。
a.全食用児の解放

約束のネバーランド 11巻 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
1つ目の全食用児の解放。
これは簡単で、農園がなくなり、全ての食用児がちゃんと生きていけるようにしたい、ということ。
b.鬼の絶滅の回避
そしてもう1つは、鬼が滅びることも避けたいというふうに望んでいること。
ノーマンが鬼を殺そうとしていることや、人間がいなくなって退化していくことも、エマはどうにかしたいと考えている。
これらの目的を果たすために、エマはどうしているのか?
以下の項目で、そのあたりを見ていく。
2.もう1つの約束を結んで、全食用児で人間の世界へ行こうとしている
エマが食用児を救うためにとった手段は、七つの壁を越えた先で、鬼のボスと約束を結ぶこと。
鬼のボスとの約束は、七つの壁を越え、”ごほうび”を支払う必要があるが、望みを叶えてもらうことが可能である。
古くは1000年前の約束の際、「世界を2つに分けてほしい」という願いすら叶っている。

週刊少年ジャンプ 2019年33号
約束のネバーランド 第142話 1000年前の”約束”② より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
そんな鬼のボスに、エマが要求した望みは、
「全食用児で人間の世界へ移動したい。それを最後に、2つの世界の行き来を出来なくしてほしい」というもの。
これによって、全食用児をひとまず鬼のいない世界へと逃がし、追われることのない状態にすることができるようになっている。
ただし、この約束には3つのルールがある。
a.鬼のボスとの約束は上書きできない
b.鬼のボスとの約束は破ることができない
c.”ごほうび”は絶対に断ってはいけない
という3つだ。
現在は「約束の履行を待ってもらっている」状態のため食用児は移動していない。
しかし、このルールに則るならば、結んでしまった以上上書きすることができないため、全食用児の移動は確定事項となっている。
3.鬼の絶滅を避けるため、邪血で人間を食べなくてもいいようにしてから移動する
鬼のボスとの約束によって、少なくとも「全食用児の解放」は可能となっている。
しかし、エマは「鬼を絶滅させない」という目的も持っている。
この約束はつまり人間がいなくなってしまっているということで、鬼が人間を食べられなくなってしまう。
鬼は同じ生物を食べ続けなければ、その形質を失ってしまう。
鬼の世界から人間がいなくなってしまうということはつまり、知能を失って退化してしまうということだ。
それを防ぐため、ひとまず約束を結んだあとは、王族やムジカたちの邪血を鬼に供給。
それによって、すべての鬼が人間を食べなくてもよくしてから、人間の世界へと渡ろうとしている。
【ノーマン・ラムダの食用児】
4.ノーマンの目的

週刊少年ジャンプ 2019年9号
約束のネバーランド 第120話 形のない怪物 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
一方で、ノーマンやラムダの食用児たちは、シンプルに鬼を絶滅させようとしている。
農園をすべて滅ぼし、邪血を持つ王家・五摂家を全員殺す。
そうすることによって鬼は退化し、自然と絶滅していく。
鬼がいなくなった鬼の世界で、食用児の楽園を作る――というのが、ノーマンの計画だ。
恨みを晴らすという意味合いもあるし、現実的に「食用児が生き延びる」ということを考えるなら、どうなるか分からない人間の世界へ行くよりも無難な選択と言っていい。
5.王族・五摂家を殺害
そして実際、ノーマンたちはギーラン家を上手く使うことによって、儀祭を襲撃。
そこに集まっていた王家・五摂家を全員討伐。
邪血を持つ鬼はムジカ・ソンジュ以外は消え、エマが和平や邪血を流通させるために交渉する相手もいなくなった。
同時に鬼は政治機構を失ったため、農園のシステムや現状の生活を維持することは難しく、間違いなく鬼の世界の破滅が近付いたと言えるだろう。
こうして見ると、エマたちの望みはそもそもが実現が難しい上に、王家・五摂家が消えたこと、ノーマンたちの妨害などを考えるとより困難になっている。
エマがすべての望みを叶えるにはどうするべきなのか? この絶望的な状況をどうにかする方法を考えていく。
ノーマンとの対立を解決するために、エマのできることとは?――全食用児の解放と鬼の絶滅を回避する方法
いよいよ本題。エマが「全食用児を解放し、なおかつ鬼の絶滅を回避する」にはどうすればいいのか?
そもそも矛盾スレスレのこの2つの望みと、ノーマンからの妨害。
問題が山積みではあるが、何とか解決する方法を1つずつ探っていく。
1.ノーマンやラムダの食用児との対立をどう解決するのか?
まず1つ大きな問題は、ノーマンやラムダの食用児たちとの対立。
鬼を救おうとするエマの行動は、鬼に恨みを持つラムダの食用児からすれば許しがたい。
エマたちがそれを叶えようとするなら当然防ごうとするだろうし、彼女らが説得しようとする間にも毒による退化や、各地の鬼・農園の襲撃などの行動が次々進んでいくだろう。
そんなわけで、ひとまず彼らを止める必要がある。そのためにどんなことができるか、考えていく。
a.説得
ノーマンやラムダの食用児たちを説得、懐柔して協力してもらう。
できるなら一番効率がよい。敵対勢力をなくし、鬼の絶滅を防ぐことの成功率も上がることに繋がる。
……が、当然ながら簡単に説得できるはずもない。
そもそも一度説得に失敗していて、実際に王家・五摂家を既に殺している。
計画が成功に近付いている中、エマの言葉に耳を傾ける理由が現状ない。
もちろん、エマの説得方法や言葉次第でひっくり返る可能性はどこまでもある。
例えば、「約束によって人間の世界へ行くことが確定している。だから殺す意味はない」という風に伝えることはできるし、これは客観的には正しい。
……が、鬼によって苦しめられたラムダの食用児にとっては聞くに値しない可能性が高いし、その程度の言葉でひっくり返るならここまで壮大な襲撃を行っていないだろう。
というわけで、説得はないとは言えないが、できない可能性がごくごく低い。
b.騙す
どうにかして、ノーマンたちを騙す。
例えば、「約束によってお互いに手出しができないようにした。破ることは出来ないよ」とか。
約束は3つのルールによって、破ることができないとされている。
レグラヴァリマたちでさえ”ごほうび”を守り続けてきたわけで、ある程度の強制力、罰則があるものと考えられるので、それを利用する。
……が、どこまでいってもハッタリに過ぎない。
既に王家・五摂家を殺しているわけで、特に罰則がないこともバレるだろうし、その程度では止まらないだろう。
というわけで、騙すというのもかなりの無理筋。
c.強行突破
では、どうするか?
説得はかなりハードルが高い。ラムダの食用児は長年の恨みもあるし、命すら懸ける覚悟がある。
ならば、もう約束を無理矢理でも履行してしまうしかない、というのが現状の結論。
どういうことか?
エマが結んだ約束は、「全食用児を人間の世界へと移動させる。そして、2世界間の行き来を不可能にする」こと。
つまり、無理矢理ノーマンたちを人間の世界へと移動させてしまえば、二度と鬼の世界へと手出しはできない。
もちろん確執こそ残るが、人間の世界へと移動してしまえば協力するほかない。
何があるか、受け入れられるか、ラートリーからの襲撃をどうするか、といった問題が山積み。鬼を襲おうにも、移動をすることはできない。
「食用児を救う」という望みはエマもノーマンも共通しているのだから、彼らを守るために行動を共にするのが合理的だ。
説得が出来ない、食用児を救うという共通の望み、そして約束は絶対に履行する(破れないというルールによる)ことなどを考えると、実のところ最も有力だと考えている。
……しかし、これでは解決していない問題が1つある。
「鬼の絶滅を防ぐ」というもう1つの目的を達成できないことだ。
これさえどうにか解決できるのであれば、約束を履行することでどうにかできるので、そちらを解決する方法を考えていく、
2.鬼の絶滅を防ぐにはどうするのか?
では、鬼の絶滅をどうやって防ぐのか?
鬼は人間を食べ続けなければ知能を失い、退化していってしまう。
鬼の世界から食用児がいなくなれば、二度と人間を食べることはできず、絶滅は避けられないだろう。
強制的に人間の世界へと行くのはいいが、これを解決できなければエマの目的は達成されないため、ここについても考えていく。
a.ムジカやソンジュに依頼する
まずぱっと思いつくのは、邪血を持つムジカやソンジュに、邪血を広めることをお願いするということ。
邪血さえあれば鬼が知能を失うことはないため、絶滅を避けることができる。
……が、ムジカはともかくソンジュがそれに賛同するかは難しい。
彼の目的は、鬼の世界に天然物の人間を生み出すことによって、原初信仰に則って人間を食べること。
人間がいなくなるというエマの目的を聞いてしまうと、彼女を襲って防ごうとするだろう。
エマたちはソンジュの目的を知らされていないため、直接話してしまう可能性が高いし、ソンジュへの依頼が成立するとは考えづらい。
ムジカだけに頼むことも考えられるが、ソンジュは彼女とともにいる可能性が高いため、やはり防がれてしまうだろう。
……頼みの綱である邪血の生き残りは、現状彼らだけ。
彼らに頼れないとすると、どうするか? 1つだけ可能性がありそうな説を思いついたので、それを考えていく。
b.もう1度、鬼のボスと約束をする
単純に、もう1度昼と夜へ行き、鬼のボスと約束を交わす。
「鬼全員を邪血にしてほしい」と言ったお願いをして、人間がいなくても鬼が滅びないようにすれば良い。
鬼のボスとの約束のルールは、破れない、上書きできない、ごほうびを拒否できないという3つだけ。
ならば、上書きに値しなければ、ごほうびさえ支払えば何度でも約束できるという解釈ができるため、今のところ矛盾がない。可能と言っていいだろう。
というわけで、もう1度約束を交わし、最初の約束を履行する。
こうすることによって、ノーマンたちの計画を妨げ、鬼の絶滅も回避することが可能。
ラムダの食用児たちからは恨まれるだろうが、食用児を救いたいという思いは一緒なわけで、人間の世界へ行けば協力も十分あるだろう。
以下に改めて結論をまとめた。
結論
エマの「全食用児の解放」と「鬼の絶滅の回避」という2つの目的を果たすための方法を考えた。
現状、ノーマンたちを止めることができず、鬼もどんどん滅びていくし、交渉相手も殺されているし、エマたちのことも狙われかねなくて、課題が山積み。
では、エマは望みを叶えるためにどうするべきなのかを考えてみた。
まず、ノーマンたちをどうするのか?
説得?騙して言うことを聞かせる? どちらも基本的には難しい。
ラムダの食用児たちは生半可な覚悟で動いているわけではなく、命を懸けている。
そうなるともう、できることは「人間の世界へ全食用児を移動させ、2世界間の行き来を不可能にする」という約束を履行することくらい。
ノーマンたちは人間の世界へと飛ばされ、二度と鬼の世界へと手出しすることはできない。
エマたちへの恨みは発生するだろうが、「食用児を救う」という望み自体は一致しているし、協力しあう可能性はあるだろう。
それに、最終的に約束を履行しなければいけないというのは事実のため、どうあれノーマンたちも人間の世界へ行くことはほぼ確定してしまっている。
そのあたりを考えると、有無を言わさず約束を履行して、人間の世界へ行くというのはあるだろう。
しかし、それだけでは不完全。
鬼の世界から食用児がいなくなってしまうと、鬼は知性を失い退化。絶滅が避けられないだろう。
では、ムジカに頼む? ノーマンたちの妨害があるだろうし、ソンジュも反対するだろう。
では、どうするか?
――もう1度昼と夜へ行き、鬼のボスに「鬼を全員邪血にする」などのお願いをすれば、人間がいなくても鬼は絶滅しない。
3つのルールにも、1度しか約束できないという決まりは書かれていないため、可能であると考えるのが妥当だろう。
もう1度約束を結んだ上で、最初の約束も履行する。
これがエマの「食用児の解放」と「鬼の絶滅の回避」の2つを叶える方法として、最も現実的かなと考えている。
おわりに
本日も配信をした。
ザジの素顔とノーマンの素顔が似ている件などについて考えたので、ぜひ見てほしい。
→152話伏線・考察まとめ配信ログ(2019年9月30日放送)
こんにちは。書き込み失礼します。
鬼じゃなくてノーマンの説得…難易度高すぎてエマとノーマンの一騎討ち不可避な気が。完璧に説得は出来ないと思いますが、腹心を少しぐらつかせる位は出来ないか足掻いてみました。
①ラムダの発作をエマがあの方に治してもらう。命の危機がなくなれば心にゆとりが出来るかも。と言うか、ノーマンあんな毒作れるなら発作治す薬作れるよね?
②ムジカの優しさを知る。ハヤトは既に心を許しかけてそうだし…。
③アイシェの真実を知る。ノーマンは鬼語が分かるので知ってるでしょうが。腹心の正義が揺らぐ。
④街の子鬼が襲われるのを見てシスロあたりに罪悪感が芽生える。
⑤ジェイムズが現れ「もうミネルヴァを演じる必要はない」とか言ってノーマンの肩の荷をおろそうとする。
エマの目的を実現するために強引な展開も考えてみました。
①早急に人間界に行かざるを得ない状況になる。例えばクリスの病状が鬼界の医療器具では治療不可能になり、殲滅どころでなる。管理人さんの無理矢理約束を履行するという考えと似ています。
②殲滅が不可能。例えば、約束や神の力によって鬼と人間は片方が滅びればもう片方も滅びる関係にされていたとか、絶滅しても無限に神が鬼を生み出すとか。
③殲滅一歩手前まで行くが、これ以降は最早神の領域だと神様が止める。原初信仰が絡んできたら面白い。
④レウウィス再登場。新たな王となりエマと手を結ぶ。
野良化防止については、邪血持ちの鬼の血でもOK?なのでムジカ1人でないなら何とかいけるかも…。
色々考えましたが、心の中のエマを振り払ってまで突き進んでいるので、腹心達が心変わりしてもノーマン1人で鬼を滅ぼしにいきそうですね。とりあえずまだ毒は大量生産されてないようなので、今の段階で食い止めたい所ですよね。
あと考察ではないんですが、ザジの紙袋切り裂かれたのに最後また被ってませんでした?(笑)
何度も失礼します
ちなみに約束が結べた事を知ったら少し揺らぎませんかね…。確かエマはノーマンに「やってみないと分からないと知って欲しい」という事を言ってたので、これがいい意味の伏線だったらな‥!と少し期待。あと死を覚悟するバーバラにエマが「私も穴空いたけど生きてるよ」とか励まして距離が縮まるとか。希望的展開です。
折角皆助けようとしてるのに一人悲劇のヒロインみたいになっていくノーマンに少し苛ついてしまいます(笑)今彼に言って欲しいセリフは助けて!です( ・∀・)
「エマ、今来たか。」
もし、そうノーマンが言っても、エマは1日遅い到着で、大きな被害が出たと思ってます。
エマが聞き間違えで「遅かった」と聞き間違えても、しかたないです。
ノーマンたち核心層の手で、女王たち、身分の高い鬼は斃されたのです。
あとは人間の側の大多数を占める動揺層が問題です。
野良鬼からでも、新しい貴族、または大王に昇って来る鬼がいるかもしれないです。
ノーマンたち核心層は今の身分の高い鬼たちに恨みを晴らし終わり、下克上を成し遂げたのです。
動揺層の、鬼が怖い多数派は、身分の低い鬼が野良鬼に甘んじてくれるか、
細菌とウィルス並みの鬼の細胞を滅菌しないと安心できないでしょう。
ノーマンから女王へ、女王の言葉で「ボクたちは食用の家畜肉では無い」
と宣言をくれています。
女王から、大魔王の座を奪い取ったノーマンの立場で、食用児みたいに扱われて、人間の世界に拉致されたら、私がノーマンの立場だったら怒るのです。
野獣として、鬼と野獣の世界で君臨するか、食用の家畜肉として人間の世界にワープさせられ、
人間社会のシュードラの下にシュードラ身分で入れてもらうか。
野獣か家畜か好きな方を自覚できると良いと思います。
皆さんコメントありがとうございます。
◆◆ノーマンの説得◆◆
こうしてみると、正直なところ、ノーマンを説得するだけの要素ってあんまりないですよね。
腹心たちも結局身体を弄られているわけで、言葉や状況だけで感情が揺れるとは思えないというか。
一応貴族は殺したので、次はラートリーだ、みたいな流れならまだありそうかな。
まあ、エマがそれを良しとするかは別の話ですが。