鬼語の用途や起源、使える鬼と使えない鬼の違いを考察。アイシェに教えたのは何故?

約束のネバーランド 6巻 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか




今回はコメントでもいくつか質問をいただいていた、鬼語に関する謎に関していろいろ考えていく。


16巻の白井カイウ先生のコメントにて、鬼語の新たな情報が明らかになった。

いわく、「鬼語を使える鬼は今やほとんどいません。ではあの鬼は何故――」

鬼語については解読がほとんど不可能だったことや描写が少なかったことから、大した考察ができなかったが、一つ取っ掛かりができた。



これが分かれば、鬼の世界の歴史や、宗教、鬼のボス(あのお方)に関する背景などが見えてくるかもしれない。

なので今回は鬼語に関する謎を考えていく。



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ヒントになりそうな情報


まずは、鬼の言語に関して、現在分かっていることをまとめていく。

ヒントになりそうな、重要な要素は以下の通り。


1.鬼語は2047年現在、使える鬼がほとんどいない

2.作中で鬼語を使った鬼・人間は?

3.儀程、儀祭に直接は用いられないが、食用児を管理するラベルには用いられることがある



それぞれ簡単に見ていく。


1.鬼語は2047年現在、使える鬼がほとんどいない


16巻の白井カイウ先生のコメントより。

約束が結ばれ2つの世界が結ばれた後は、街の鬼なども人間の言語を使っている。

鬼の言語が使われている描写もごくわずかなため、人間・鬼、どちらに対しても、公用語は間違いなく人間の言語と言っていいだろう。



逆に言うと、現在でも使える鬼は少しでもいる。

また、言語として成立しているということは、かつては一般的であったことも考えられる。

つまり、何らかの要因によって、鬼語は使われなくなったということだろう。この変化が何故起きたのかは、後で考える。


2.作中で鬼語を使った鬼・人間は?


では、数少ない鬼語を使った鬼や人間は誰なのか?

現状確認できる範囲では、以下の鬼や人間が使っている。


a.GFの追手鬼

最初に鬼の言語が登場したのは、6巻でレイを追っていた鬼。

陣形の指示を鬼の言語によって行っている。


b.ソンジュとムジカ

ソンジュとムジカも鬼の言語を使っている。

鬼の秘密などを、エマたちに伝わらないようにするために鬼語を用いた。


c.アイシェ(と、彼女に言語を教えた親鬼)

そして、アイシェは人間でありながら鬼語を話す。

ソンジュにも伝わっていたため、完全に鬼語を理解していたと言える。

また、彼女を拾った鬼が言葉を教えたということなので、彼も鬼の言語を使えたと言っていいだろう。


d.レグラヴァリマ

ノーマンたちに撃退された女王・レグラヴァリマも最期に鬼語で慟哭した。

王族ならば古くから生きていただろうし、鬼社会の中心であることから、鬼語を使えるというのは自然だろう。


e.ノーマン

レグラヴァリマの鬼語での叫びを理解し、鬼語で返答した。

彼に関しては、どこで学んだのかが不明。

とはいえ基本は、痛めつけた鬼から情報を収集したか、支援者からの情報提供の可能性が高い。



3.儀程、儀祭に直接は用いられないが、食用児を管理するラベルには用いられることがある


宗教的、文化的な使い道として、儀祭や儀程などが考えられるが、そこで重要な言語かというと、そうでもない。

儀程は鬼語を知らないエマたちでも成立しているし、儀祭でも鬼語で喋っているわけではないようだ。


しかし、食用児を管理するラベルには、鬼の言語が見られる。

コニーが収納されたケースや、儀祭に捧げられている食用児には、鬼語のラベルがついているのだ。

一方で、街に出荷されていた人間の肉には、特に鬼語のラベルはない。

高級品のみに用いられる、農園によって異なるなどいろんなパターンがあるため、どういった目的で付けられているのかは、現状判断ができない。



というのが、現状の鬼語の描写から分かることだ。

ここから、鬼語が何故出来たのか?何故廃れていったのか?

そして、アイシェの親が彼女に使われていない言語を教えたのは何故なのか……そういったことを考えていく。






鬼語の起源――何故独自の言語は生まれ、何故現在は使われないのか?


まずは、鬼語の起源について考えていく。

これに関してはいくつかパターンがあるが、人の言語と鬼の言語、どちらを先に鬼が使い始めたか?ということが1つ考える取っ掛かりになりそうだ。


どういうことか?

鬼は、共食いをすると食べた鬼が中に宿る描写がある。


それと同様に、人間を食べると人間の記憶を引き継ぐなら、人間の言語を使い始めるのが自然だろう。

その場合、鬼同士のやり取りも、人間の言語で事足りる。なら、鬼の言語ができた理由が明確にあるはずだ。



一方、食べた人間の記憶、知能をそのまま引き継がないなら。

その場合、鬼独自の言語が最初に発生するというのが自然だろう。何のヒントもないなら、新しい文字を作るほかないからだ。

というわけで、このあたりから、鬼語と人間の言語を、どうやって使い始めたか?ということを考えていく。



1.人間の記憶を引き継ぎ、人間の言語を先に覚えたパターン


まず、人間の記憶を引き継いだことによって、人間の言葉を先に覚えたパターン。

この場合、鬼語を使ったことには何かしらの理由がある。なぜなら、普通に人間の言葉で事足りるはずだからだ。


鬼語が生まれた理由として可能性が高いのは、やはり人間との戦いで有利に立つためだろう。

戦闘中、人間の言葉を使って連携すると、人間に動きを読まれてしまう。

計画を立てる際に盗み聞きされるリスクもあるし、独自の言語を使う価値は十分すぎるほどにある。

そのため、人間の言葉を先に覚えたのなら、鬼語は戦いのために生まれた言語というのが自然だろう。


ただ、記憶や覚えていた言語をそのまま引き継ぐかというと、そうであるという証拠もない。

鬼が共食いした際にだけ起きる現象ということもありうるため、確実にそうかというと難しい。


2.鬼が独自の言語を最初に作り出したパターン


普通に、言語を作り出すだけの知能を得た結果、1から言語を作り出したという可能性。

こちらのほうが、まあ自然だろう。

そしてこの場合、人間の言語を覚えた理由が何かしらあるはずだ。



……とは言っても、こちらも人間との戦いのために、人間の言葉を覚えたというのが妥当。

人間の言葉を覚えれば、先に挙げた理由から人間の行動を先読みできる。

もっと言えば、停戦や交渉などもできるため、人間の言語を解読する、覚えるというのはやはり価値のあることだ。



というわけで、どちらのパターンにせよ、鬼は戦うために2種族の言語を習得したというのが自然に見える。

少なくともレウウィスは1000年前の戦争の時点で人間の言語を理解しているため、時系列的な矛盾はない。

他にもなにかあるかもしれないが、現状考えられる説はこれだけだ。



鬼語は何故、今は使われていないのか?


そして、「戦いのために言語を2種族の言語を覚えた」というのは、「鬼語は現在使われていない」ということの説明にもなる。

どういうことか? 約束が結ばれ、人間と鬼の戦いは終わった。

お互いに策を隠す必要はなく、むしろ協力し農園を運営していく必要がある――。

ならば、鬼をメインに広まっている鬼語は、もう使う必要が一切ないのだ。



では、何故鬼語のほうが一般的ではないのか?何故、人間の言語を使うことになったのか?

これに関してはいくつか理由が考えられる。どれも確実にそうだとは言えないが、ある程度の根拠はあるので挙げていく。


1.人間の言語の方が歴史が深い


まず、人間の言語のほうが単純に歴史が長い。

知性鬼が生まれたのは人間の後であるため、単純に人間の方が文化的には発展しているし、言語の表現の幅も広いだろう。

要するに、単純に便利である可能性が高いのだ。



2.農園での管理、人間とのやり取りが容易


そして、高級農園ではラートリー家の人間とのやり取りが必要である。実際、クローネが鬼と人間が会話しているのを目撃している。

また、食用児を教育するため、人間の文化をどうしても取り入れる必要がある。


そして高級農園は王族・五摂家にとって最も重要な機関。

そこに力を入れたいだろうから、そのための人材を育成する必要がある。

すなわち、人間の言葉を理解できる鬼を常に用意し、取り入れたい。

そうなれば、鬼の世界の公用語を人間の世界にするというのは妥当だろう。



というわけで、人間の言葉の方が多分便利。

そして高級農園では人間とのやり取りが不可欠で、高級農園は万全の運営をしたい。

なら、公用語を人間の言語にして、鬼が高級農園に就職する土台を作るというのは自然でしょ、という話だ。

裏付ける描写は少ないが、実際やるとなると、ある程度筋が通っているため、これが現在人間の言語が主流である理由だろう。



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鬼の言語を使える鬼について


では、人間の言語が主流な中、鬼の言語を使える鬼がいるのは何故なのか?

彼らはどうして、わざわざ主流ではない鬼の言語を使えるのか?

いろいろ考えてみたが、要素はあまり多くない。考えたことをまとめていく。


1.古くから生きている鬼は使える


まず、レグラヴァリマやソンジュ・ムジカのような古くから生きている鬼。

彼らは鬼語が一般的だったと考えられる時代から生きている。

……であれば、使えるのは普通だろう。忘れるわけでもあるまいし。


2.農園勤務の鬼?


そして、アイシェの親鬼や、レイを追っていた鬼たち。彼らは古くから生きていたか、判断することができない。

が、どちらも共通していることとして、高級農園の職員であったということ。

儀祭で捧げられている食用児や、GFの食用児などのラベルには鬼語が用いられているため、彼らが鬼語を使えたのはそれが理由かなと。


ただし、農園が鬼語をわざわざ使う理由は現状判然としない。

テストの数字管理などは人間の言語で行っているため、ラベルだけ鬼語を使う意味はそこまでないのだ。

一応、飼育監やラートリーに見られてはならないことが書いてある、などは考えられるが……そこまで重要なことを記すかというと、微妙だろう。

ちょっとここに関しては、まだわからない。



アイシェの親は、何故彼女に鬼語を教えたのか?


そして、もう1つの謎は、アイシェに何故鬼語を教えたのか?ということ。

現在では全く使われていない言語を教えた理由についても考えてみる。



……が、大前提アイシェは鬼の世界で外に出ることができない。

つまり、伝わる伝わらないということに大きな意味はない。

そうなると、単純に娯楽の幅を広げるためというのが妥当だろう。

ずっと外に出ることができない彼女は、特に娯楽がない。なら、単純に言語を覚えることは暇つぶしになるし、古い書物を読むこともできるようになる。


アイシェの置かれた状況を考えると、基本的には娯楽を増やすために親が図らったというのが妥当かなと考えている。



以下にここまでの結論をまとめた。



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結論


今回は鬼語の起源や、現在使える鬼などについて考えてきた。


鬼は鬼と人間、両方の言語を使うことが出来た。

これはおそらく、戦いで有利に立つためだろう。人間に策を読まれないように独自の言語を使ったか、逆に策を読むために人間の言語を覚えたか。

どちらにせよ、動機として最も強いのは戦いに勝つためだろう。


……しかし、戦いが終わり、約束が結ばれた。

そうなると農園を運営していく必要があるわけで、言語を統一したほうが効率的。

人間の言語の方が歴史が長く、おそらく便利。そして高級農園には教育のため、人間の言語が分かる必要がある。

そのため、現在では鬼の言語は廃れ、人間の言語を使うようになったものと考えられる。


では、現在でも鬼の言語を使える鬼がいるのはなぜか?

まず、長く生きている鬼が使えるというのは当然だろう。


ただ、追手鬼や、アイシェの親がそうだったかは分からないため、別の要因がある可能性も考えられる。

彼らに共通するのは、高級農園の職員であること。実際ラベルに鬼語が使われているため、農園職員は鬼語が使える必要があるのかもしれない。

ただ、ここはちょっと根拠が弱いところである。


そして、アイシェも鬼の言語を喋ることができるが、彼女にそれを教えたのは何故か?

彼女の状況を考えると、そもそも外に出ることも、親以外と会話をすることもない。

となると、喋るためというより、彼女の娯楽を増やすために、言語を覚えさせた可能性が高いかなと。

覚えることが娯楽になりうるし、読める本が増えれば退屈もしないだろう、と。


……というのが、鬼語に関して考えた結果。

いろいろ考えたが、基本は戦いのために2種族の言語を覚えたというのが、現状有力だと考えている。


おわりに


配信したよ。


153話伏線・考察まとめ配信ログ(2019年10月7日放送)







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