週刊少年ジャンプ 2020年2号
約束のネバーランド 第160話 足枷 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか
160話では、ついにピーター・ラートリーの行動が本格的に描かれた。
女王にだけ秘密を明かし、食用児をすべて女王に差し出すことを条件に王兵を動かすことに。
鬼の勢力と確執を作ることなく、アジトを襲撃する戦力を手に入れた。
そしてジリアンが到着した頃には、アジトの食用児たちがいなくなっていた。
これは、彼らが自発的に避難したからなのか? それとも、ラートリーや王兵の手にかかったのか?
もし後者ならば、生きているのか? 彼らはどこへ行ったのか? といった消えた食用児の行方について考えていく。
その過程で、ピーターは結局何が目的で、何をしようとしているのか?ということを考える必要があったので、それもまとめていこうと思う。
ヒントになりそうな情報
まずは、アジトやラートリー家の情報について分かっている情報をまとめていく。
重要そうな情報は以下の通り。
【アジト】
1.アジトにいた食用児は数百。戦闘に優れた食用児は王都へ
2.ノーマンの撹乱によって位置は鬼にはバレていなかったが……
3.ジリアンが到着した際には、既に荒らされ人はいなかった
【ピーター】
4.ラートリー家はかつて、”ごほうび”として二世界間の調停役を命じられた
5.ピーターは一族の使命に背いたジェイムズや支援者を処分した
6.ピーターは女王にだけ失態をリークし、兵を動かしている
それぞれ簡単に見ていく。
【アジト】
1.アジトにいた食用児は数百。戦闘に優れた食用児は王都へ
まず、アジトにはノーマンが崩壊させたラムダなどの農園の食用児がいた。
その数はハヤトたちいわく、何百といるようだ。
しかし、全員が戦闘に優れていたかというとそうではない。
「強い仲間が守ってくれている」とハヤトが言っていたが、襲撃された時点ではそのほとんどが王都にはいない。
シスロやバーバラたちは王都へ向かい、GPの食用児たちはエマたちを送り届けていた。
2.ノーマンの撹乱によって位置は鬼にはバレていなかったが……
しかし、見つからなければ問題はない。
農園を襲った痕跡によって、ノーマンはアジトの位置を巧妙に偽装していた。
王都襲撃前の段階では鬼の軍勢に気づいた様子はなかった。
しかし、エマたちが王都につく2日前、王兵たちが近づいていることを確認している。
これにはノーマンも驚いているため、想定していない動きだったと言える。
3.ジリアンが到着した際には、既に荒らされ人はいなかった
そして、ジリアンがアジトへ到着すると、そこに仲間たちはいなかった。
アジトにあった物や棚は荒らされていることから、外部からの襲撃である可能性が高いだろう。
【ピーター】
4.ラートリー家はかつて、”ごほうび”として二世界間の調停役を命じられた
初代当主・ユリウス・ラートリーは1000年前、鬼に停戦を申し込んだ。
「お互いに狩らない」という人間と鬼の約束を結ぶにあたって、世界を分けることをあのお方に依頼した。
その対価、”ごほうび”として、ラートリー家は代々「調停役」としての役割を継いでいくことを強要される。
両種族が約束を破らないように、二世界を監視するという役目だ。
あのお方との約束では「ごほうびは拒否できない」「約束は破れない」というルールがあるため、これに背くことは不可能となっている。
ただし、先代ジェイムズ・ラートリーは食用児の脱走に関与しているわけで、この「約束を破れない」という基準は現状曖昧だ。
5.ピーターは一族の使命に背いたジェイムズや支援者を処分した
そして、ピーターは先代ジェイムズたちを断罪している。
兄を殺した際、「GPを作ることは人間世界への裏切り」「人間世界の安寧のため」と考えていることや、彼の部下であったアンドリューは「我々は今この秩序でなければならない」と語っている。
このことから、約束を破ろうとする身内や、食用児を対処し約束を守るために動いている、といえる。
6.ピーターは女王にだけ失態をリークし、兵を動かしている
そして、先代ジェイムズによって引き起こされた脱走や、GPをバイヨンに使わせていたことなどから、ピーターは食用児たちを追うことができなかった。
それが露見すれば王家・五摂家から恨みを買い、争いが生まれる。すなわち調停役としてしてはいけないことをすることになってしまう。
ゆえに、彼らは脱走のことを知っているかのように動くことは不可能だった。
が、その前提で動く食用児の裏をかくように、ピーターは動いた。
女王にだけ脱走児の生存を報告し、それを捕まえ彼女にだけ渡す――そんな契約を彼女に持ちかけた。
そうであれば、鬼全体から恨みを買うことはなく、人間と鬼の戦争になることもない。
女王の利己的な性質を上手く利用し、彼女の兵を率いる権利を手に入れた。
その上で、王兵たちとともに食用児たちのアジトを捜索。
周辺で確認されているため、かなりアジトまで近づいていたことが明らかになっている。
というのが現在分かっていること。
このあたりをふまえて、アジトにいた食用児の行方や、ピーターたちの目的、とりそうな行動を考えていく。
アジトの食用児は何処へ行ったのか?
まずは、アジトの食用児たちはどこへ行ったのか?
これは、2つのパターンで変化してくるだろう。自分たちで逃げたのか、それとも王兵たちに襲われたか。
状況から見て、この2パターンが濃厚なので、この2つのどちらが有力か、というところからまず考えてみる。
1.自分たちで襲撃に気付き、アジトから逃げ出した
まずは、王兵たちが近づいているということに自力で気付き、逃げ出したというパターン。
この場合、何処へ逃げたのかは予測がしづらい。周辺状況等に関しては描写されていないからだ。
……しかし、このパターンは現実味が薄い。
何故なら、想定されていないパターンである可能性が高く、指揮できる人間も少ないということ。
今回の襲撃は、ノーマンにとっては完全に想定外であることは間違いない。
痕跡を真逆に残すことによってアジトの位置を偽装し、「近づかれない」という前提で彼はアジトを空けた。
そして、その彼自身が襲撃に驚き、更に「この状況はまずい」とも言っている。
つまり、まず間違いなく今回の襲撃に対応する準備はほとんどない。
そして、主戦力となるシスロたち幹部格もほとんどおらず、逃亡に慣れている食用児もほとんどいない。
GFの子供たちがいるが、何百といる食用児を全員統率できるとも考えづらい。
このあたりを考えると、自分たちから逃げるということができた可能性は非常に低いだろう。つまり……
2.ラートリーと王兵に襲撃され、殺された、あるいは連れ去られた
実際に襲撃を受け、彼らの手に落ちたと見るのが妥当だろう。
この場合、彼らによって殺されたか、何らかの目的で連れ去られたかのいずれかとなる。
殺すのであればその場で切り捨て動きを止めるのが自然。しかし血痕などは見当たらないため、連れ去られた可能性が高いだろう。
ピーター・ラートリーの目的と行動からアジトの食用児たちの行方を考察
では、一体どこへ連れ去られたのか?
これは、ラートリー家の目的や、とりそうな行動から考えるのがよさそうだ。
食用児の身柄をどう使うかということ、そしてどこへ向かうのかということが自然と見えてくるだろうから。
というわけで、その辺について考えていく。
ピーター・ラートリーの目的
これは一つほぼ確実なものがあって、「人間と鬼の約束(争わないという現在の秩序)を守り、人間の世界を守る」こと。
ラートリーの「人間世界の安寧のために」というモノローグや、今回の「秩序は守る。一族の名誉にかけて」という言葉から分かる。
モノローグで嘘はつかないだろうし、今回の策も秩序を守る以外の目的は考えづらいからだ。
前者はともかく、後者はどういうことか分かりづらいので補足する。
今回ピーターは、女王に命をかけて進言した。食用児はすべて女王に献上する、失敗すれば死ぬ。
その上で、フルスコアを献上することができれば何らかの報酬が得られるか?
……いや、そもそも身内の不始末を飲み込んで欲しいと女王に依頼している時点で、それはかなり考えづらい。
足元を見られるに決まっていて、基本的にはタダ働き同然。約束・秩序を守る以上に得られる利益はないだろうし、リスクも大きい。
だから、秩序を守るという意志がなければかなり取りづらい行動といえる。
ピーター・ラートリーが秩序を守るために取りそうな行動
ピーター・ラートリーが秩序を守るために動いているのだとすると、実際にはどんな行動をとるだろうか?
秩序を守るとはつまり、鬼と人間の約束を守るということ。要は、お互いに争わない状態を維持するということだ。
であれば当然、鬼側に喧嘩を売るわけにはいかない。実際そのために今回彼は、女王にだけ話をしたのだから。
そして、そうなれば女王にだけは逆らうわけにはいかない。食用児をすべて彼女のもとへ献上する。これは間違いないだろう。
では、彼の取るべき行動は簡単だ。
すべての食用児を確保し、王都にいる女王に秘密裏に献上する。
現在そのほとんどの食用児は確保できているが、王都へ攻め込んだエマたち主戦力を彼は確保しなければいけない。
逆に言えば、彼女らを確保することさえできれば後は王都へ行くだけである。
となると、ピーターの行動はエマたちを確保すること。そのためには確保した食用児を利用するのが効率的だろう。
彼らを人質にし、エマたちを殺す、あるいは身柄を拘束する。
ノーマンたちの居場所を探るため、食用児たちを拷問する。こんなところだろう。
また、情報を聞き出す際、王都進軍の件を知れば彼は助けに王都に戻る可能性が高い。
どの道王都へ行き食用児を献上する必要があるし、女王が死ねば秩序が乱れる。食用児の反乱と広まればすべてが崩れる。
それだけは彼の目的から見て避けたいだろうから、現在はアジトの食用児を連れ王都方面へ向かっている……と考えられる。
結論
アジトの食用児たちが何処へ行ったのか、ということを考えてみた。
状況から見て、アジトへ進軍していたラートリーや王兵たちが関係していると見ていいだろう。
そうなると、パターンは2つ。
アジトへの襲撃に気づいて逃げたか、あるいはそのまま襲撃を受けてしまったかだ。
基本的には、後者である可能性が高い。
ノーマンの様子を見ると、アジトは見つからないという想定で動いていた可能性が高く、見破られた今を「まずい状況」であると認識している。
つまり、見つかった際の動き方などについては決めていなかったのではないかと。
襲撃を受けてしまったのなら、アジトの食用児たちはどうなったのか?
今はまだ、死んでいる可能性は低いだろう。なぜなら、アジトに大きな血痕は残っていなかった。捕獲され、連れ戻されたと見るのが妥当かなと。
その上で、今はどこにいるのか?
これは、王都方面に連れ去られている可能性が高い。
というのも、ピーターの目的は「秩序を守り、人と鬼が争わないようにする」こと。
これはモノローグや、彼自身の行動からかなり濃厚だ。
で、今「鬼と敵対しない」ためには女王にすべての食用児を献上することが肝要。
であれば、捕まえた子供たちを人質にエマたちを拘束、王都にいる女王に献上する、という流れになる。
王都に彼らが向かっていたことを知れば、なおのことそちらへ向かうだろう。万が一女王が死ぬようなことがあれば、争いは不可避だからだ。
……その上で、今は女王が死んでしまっている。
こうなった今、ピーターはどうするのか? このあたりは、時間切れで考えきれず。配信や次回考えてみたいところだ。
楽しく記事を読ませていただきました!
今後ピーターは一刻も早く女王に食用児を献上するため、ほぼ確実に王都に向かうと思います。そこで、今後ピーターの取りうる行動について、私は食用児がピーターらに捕まっているという前提で以下のパターンを考えました。
(1)鬼社会が統率者を失ったことを知り、人間が鬼に対して優位に立てるよう何らかの形で鬼社会への干渉を始める。例えば、
(a)一部の鬼をピーターの部下にし、鬼社会を統率させ、捕らえた食用児を従順な鬼への”ご褒美”として利用する
⇒理由1. 鬼の民は依然として生存しており、限られた人間の数で鬼社会を統率するのは現状として困難
⇒理由2. 鬼語を話せない人間が支配するよりもスムーズに支配できる
(b)食用児の大量生産技術を持っている(byノーマン)ことから、そこで生産された食用児を一般的な鬼の民の食料として支給し、支配者としての支持を得る
⇒理由1. 劣悪な人間を食べても進化には繋がず、むしろ野良に帰るため知的な鬼の反乱を恐れずに支配できる
⇒理由2. 広範囲に渡って影響力を行使できる
※bのケースは鬼が人間を食べなければいけない理由をピーターが知っている前提での行動ですが、調停役なら知っている可能性も十分にありえるかと思いました。
(2)鬼社会が統率者を失ったと言えど依然として鬼の勢力は強いと判断し、引き続き調停役を務め、食用児を全員殺害するための行動に出る。
⇒理由. 食用児が鬼との約束を変えようとしていることをアンドリューから聞いている可能性があり、また前回の話でピーターが食用児から敵視されていることを認知している様子が描かれており、今の秩序を確実に守るため。
この場合、まずはエマ達を野放しにはできないため、まずはエマ達との接触を計る、もしくは捕らえた食用児を人質にエマ達を誘きだす。例えば、
(a)女王から借りた鬼の軍を指揮してエマ達の痕跡を追い、殺害する
(b)痕跡を追わない場合は、非対面的な形(例えばフクロウや電話などを通信手段として用いる)でエマ達と交渉し、捕らえた食用児と特上3匹の交換を申し出る、もしくはエマ達が新しい約束を結んだことを知っているならば、捕らえた食用児の解放と引き換えに約束を破棄させる
(c)(b)の後、エマ達含め全員の殺害を試みる
長くなってしまいましたがこの先も読んでみないと展開が掴みにくいので、素人の考察だと思って適当に流してください!笑
こんにちは。
最後のコマのあれ、血痕じゃないですよね…。正直、子供達は捕まってエマ達と引き換えを迫られる展開が面白いと思うのですが、それならフィルとかでも良さそうなので希望も込めて逃走した方向で考えます。一応それっぽい理由も⬇️あと、あのお方が絡んでるかもと思いましたが、何でもありになるのでこれはなしで。
・フルスコアが不在と知れば、アジトに留まってGFの子あたりを餌にエマ達が帰還するのを待ち伏せた方が確実。(王都に攻め込んだと分かれば女王を助けに向かうかもですが)
・アジトが荒らされていたのは、子供達の姿がない事に焦った鬼が探し回った結果かも。アジトにも戦力になる子はいますが、ほとんどは無力な子供。ならば、ほぼ無抵抗と言うか一方的に捕まってると思うので、あそこまで派手に物が散らかるだろうか?と思いました。
・もし鬼が子供達を連行してるなら進行速度が下がるので、ジリアン達がどこかで目撃してる気もします。
○どんな経緯で逃走したか?
・自発的に逃げた→ジンが偵察中に軍を発見して、GFとGPのメンバーが中心になり逃亡。個人的にそろそろナットに活躍して欲しい。
・支援者が現れた→生きていたジェイムズかスミーあたりが別の場所に誘導。
・アジトに昔住んでいた一族→特殊な鬼で助けてくれた。可能性は超低い。この一族って明らかになるのか…ムジカやアイシェ父の一族とか?そもそも鬼なのか…。
○何処に行ったか
・秘密の部屋→ノーマン達が鬼の人体実験やってた部屋みたに、奥に隠し部屋がある。
・別のアジト→支援者が秘密裏に新たなアジトを作ってた。でもクリスどうやって運ぶのかな…
・7つの壁→壁手前まで。ヴィダ一本を複数人で使えば少ない本数でもいける?でも追いかけられたらおしまい。
逃亡してたとしてももうアジトは使えないし、ピーターとの直接対決は避けられないですね。ピーターは最終的には、より有利に確実に約束を守るために新たな王をたてて傀儡化…とかしそう。そうなったらソンジュがアテにしてる鬼と対立するし、全鬼が邪血になったら農園の価値下がるし…と、やはりここに行き着きます。
何だかここ最近の展開を思い返したら、ノーマン詰め甘過ぎませんかね…(^_^;)ノーマンの見込み違いで窮地に立つことはないと思ってたんですが。
アジトの方は確かヴァイオレットあたりが「上手く事が進んでる時こそ危ない」みたいな事言ってたので、自発的に万が一に備えていると期待します!
皆さんコメントありがとうございます。
楽しんでいただけたなら何よりうれしいです。今後もがんばりますので、よろしくお願いします。
◆◆ピーターの行動◆◆
人>鬼になるように立ち回る可能性ですが、大いにありそうです。
「秩序を守り、人間の世界の平穏を守る」という信念がありそうだということは書きましたが、
これってつまり、人によりよい環境を作りたい、とも言えそうですからね。
おっしゃるように、量産肉で飼い殺す、みたいなこともできそうから、全然やりうるかなと。
調停役ですし、支援者経由でノーマンが鬼について知っていることからも、基本鬼の体質についてピーターたちも把握済みでしょう。
とはいえ、約束を守る、秩序を守るという方向(エマたちを攻撃する)も依然ありうるんですよね。
3つのルールがどこまでの拘束力を持つのかはわかりませんが、露骨に種族の天秤を傾けるわけにもいかないでしょうし。
この場合は、裏切りの芽を摘んでおきたいでしょうから、基本は搦め手も使いつつ全員を拘束する……というのを狙いたいはず。
その上で、あのお方さえ無視するなら、現状で約束の詳細を知る鬼はほとんど死んだと見えるので、反故にするってのも選択肢にはなりそうだなと思いました。
(要するに、なんでもありそうって思ってます。あらら)
◆◆逃走したパターン◆◆
◇◇自発的か誘発的か◇◇
基本的にはこの場合、自発的に逃げる感じかなと思いますね。
ラートリー側に支援者がまだ紛れていて、動きを察知して避難誘導した……というのは、
ラートリー家に忍び込み続ける、彼らの目を盗み、鬼の世界を行き、王兵を先回りする……などの条件から厳しそう。
また、アジトにいた鬼は、さすがに戻ってくる理由、助ける理由が希薄な気がしますから。
ただ、唯一、むしろGFやGP、シェルター、ノーマンたちなどこれまでの騒ぎを隠れ蓑に、ラートリーの目をそちらに向けて、生き延びた(細工をしていた)支援者がいた……みたいなパターンなら、ギリ納得も行くかなと。
◇◇どこへ◇◇
こちらも、食用児の反乱に目が行っている隙に活動していた支援者が、新たにシェルターやアジトになりそうな場所を見繕った、
というのが今のところ有力そうだなと思っています。