ピーター・ラートリーとエマたち食用児は和解できるのか?対話の結果を考察

週刊少年ジャンプ 2020年17号
約束のネバーランド 第172話 自由 より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか




172話で、ピーターを追い詰めたエマは、彼に向かって対話をもちかけた。

恨みや憎しみを引きずりたくない、それらに囚われたくない。もうそれらを生まないように、「殺して解決」という手段はとりたくない。

だから、「ピーターは殺さない。ラートリー家に報復もしない。その代わり、食用児の自由を認めてほしい」ともちかけた。


これに対して、ピーターは「バカだ」と一蹴。

死なばもろともと、エマを殺して約束を不履行に。自分も死ぬけど食用児の自由を認めない……。

そんな選択肢をとろうとしていた。


その上で、更に詳しくエマの主張を聞いた今、ピーター・ラートリーは彼女の対話に耳を貸すのか?

対話の結果、ピーターがどうするのかを考えていく。



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ヒントになりそうな情報


まずはヒントになりそうな情報をまとめていく。

エマたち食用児とラートリー家の状況をそれぞれまとめていくと、重要そうなのは以下の点。


【食用児】

1.エマたちの目的は、各勢力が互いを害さない世界

2.そのためにピーターを生かし、自由を認めるように”対話”した


【ラートリー家】

3.ラートリー家は1000年前の約束の”ごほうび”によって調停役を続けていた

4.五摂家なき今、鬼の世界を支配するために動いていた

5.GF農園は制圧され、食用児たちに銃を向けられている

6.レウウィスの登場、邪血の周知によって農園社会による支配は実現不可能に

7.食用児を道連れにするため、エマを殺して約束の不履行を狙っていた



それぞれ簡単に見ていく。



【食用児】

1.エマたちの目的は、各勢力が互いを害さない世界


エマは、食用児が鬼に食べられない世界、鬼が人間を食べなくても生きていける世界を望んでいた。

が、それは表面的な話で、「食用児も鬼もラートリーも、互いを傷つけないようにしたい」ということが最大の願いと明らかになった。



2.ピーターを生かし、自由を認めるように”対話”した


だからこそ、エマはピーターを殺そうとはしなかった。

「ラートリー家に如何なる報復も攻撃もしない。だから食用児の自由を認めてほしい」と要求する。

GF農園を制圧し、ピーターを追い詰めたにもかかわらず銃を捨て手を差し伸べた。



【ラートリー家】

3.ラートリー家は1000年前の約束の”ごほうび”によって調停役を続けていた


ラートリー家は1000年前、戦争を終わらせるために約束を結んだ。

その際、あのお方に「世界を2つに分けてほしい」と願った。

その”ごほうび”として、二世界間の調停役という役割を、彼の家系が担うことを強制された。


役割としては、鬼と人間がお互いを狩らないように監視すること。

実際には二世界間を行き来し、五摂家とともに農園を運営することで人間と鬼が争わないシステムを作っていた。

その上で、五摂家との癒着によって何かしらの利益を得ていた可能性も示唆されている。


4.五摂家なき今、鬼の世界を支配するために動いていた


しかし、ノーマンたちの手によって、農園の運営に関わっていた女王や五摂家は殺された。

それを受けて、彼らがいなくなった鬼の世界を農園の権力によって支配しようと考えていた。

それを邪魔するエマたち脱走児と、邪血であるソンジュたちを殺そうとした。


5.GF農園は制圧され、食用児たちに銃を向けられている


しかし、エマ達を誘い込んだGF農園は、食用児によって完全に制圧されてしまう。

システムはダウンし、職員の鬼や護衛は倒れ、飼育監にも裏切られる。


これによって彼の打てる手はほとんどなくなった。

逃げ出したもののすぐに追い詰められ、フルスコア3人によって銃を向けられている。


6.レウウィスの登場、邪血の周知によって農園社会による支配は実現不可能に


また、この窮地を抜け出せたとしても、ピーターにできることはほとんどなくなった。

邪血の処刑現場にレウウィスが現れ、彼らを救い出した。

それどころか、病毒とされてきた邪血が、本当は「人間を食べなくても生きていける血」であることを民衆に周知。

ラートリーの手先と化していた五摂家家臣団を失墜させた。

つまり、邪血が広まり農園の支配力はほぼ皆無となり、ラートリーの影響を受ける権力体制は崩壊したといえる。



7.食用児を道連れにするため、エマを殺して約束の不履行を狙ってい



つまり、ピーター・ラートリーの現状はほとんど”詰み”。

事実打てる手のなくなった彼は、エマを殺して彼女が結んだ約束を不履行にしようと考えていた。

これの意味するところは、「道連れ」。

エマを殺したところでピーターの状況は一切好転しないが、食用児が幸福になることは許さない、という思考からの行動だ。




以上が今分かっている情報と状況。

要するに、ラートリーは詰んでしまったが、どのみち死ぬのならエマたちも不幸になるように、と道連れの道を選ぼうとしていた。

が、そこにエマが「報復しないから、自由を認めてほしい」と交渉、対話を持ちかけてきたという状態。

この会話を聞いて、ピーターは果たしてどんな行動をとるのか?

和解の道を選ぶのか、和解のふりをして裏切るのか、あるいはそのまま互いを破滅させるのか。

このあたりについて考えていく。







ピーター・ラートリーの取りうる行動と、そのメリット・デメリット


では、ピーター・ラートリーは和解の道を提示された上で、どう行動するのか?

……とはいえ、ここに関してはまだ判断できる状態ではない。

読みすすめるうちに分かると思うが、ピーターの立場や人間の世界の状況など、わからないことがあまりに多いからだ。


その上で、ピーターのやりそうな行動を一通り考えて、それに伴うメリットとデメリットを挙げて、「実際やったらどうなるか、何が得られるのか」を整理していく。

ピーターがやるであろう行動は以下の3パターンに大別される。


1.和解の道を選ぶ


まずは、エマの主張を受け入れて共存するということを選ぶパターン。

農園によって得ていた利益、鬼の世界への影響力、世界の行き来をする権利などを失う。

その代わり、ピーターは生き延びることができる。そういうやり取りだ。


とはいえ、この和解によって失うものは実のところほとんどない。

何故ならこの交渉の時点で、ピーターはこれら全てをほとんど失っているからだ。

レウウィスのせいで農園はもはや物好きにしか影響しない。つまりもう成立していないのだ。

だから、普通に考えるのなら命拾いをする、というだけの取引だ。他にデメリットがなければ飛びつくべきである。


しかし。完全にデメリットがないのかというと、そういうわけでもない。

考えられる問題点がいくつかあるので見ていく。


a.調停役の終了


1000年前の約束の”ごほうび”である調停役。

エマたちの結んだ約束が履行されれば、これは事実上終わることになる。

世界の行き来が不可能な以上、2種族を監視する、という役割は不可能になる。


これの何が問題か?

あのお方との約束には”3つのルール”というものが存在する。

その中に、約束を破ることはできない、”ごほうび”の拒否はできない、というものがある。

つまり、調停役の役割を果たすことができなくなったラートリー家は、何らかのペナルティを受ける可能性がある。

もちろん、この3つのルールに実際に抵触するのか分からない(言われたときに拒絶できないだけで、できなくなったらしょうがないという可能性もある)し、

どんなペナルティがあるのかわからないし、そもそも本当にあるものなのかも判然としていないため、なんとも言えないところ。


実際に抵触する可能性があり、ピーターが死ぬよりもひどい目にあうのであれば、和解を拒否する理由となりうる。

また、2世界間の行き来ができる(=エマを殺し、約束を履行させない)ならば、一応調停役としての立場は続きうるため、ラートリーの子孫、家系は罰則を受けない可能性もあるだろう。


b.人間の世界における立場が失墜する


次。ラートリー家は技術力や資産力を見るに、それなりの立場を築いていることは推察できる。

もしそれが「調停役」という立場によるものならば、それを失うことになる。


例えば、五摂家との癒着により、鬼の世界の資源などを得て、人間の世界へと提供していたのなら、それらは不可能となる。

あるいは、人間の世界を守っているという大義名分によって生きていたのなら、それは消失する。

これらの理由から、生き延びたとしても結局人間の世界で殺される、家族がひどい目にあう、殺されるよりもひどいことになる、といった可能性が考えられる。


とはいえ、これは農園が終わったことを考えると、和解しなかったとしても避けようのないところ。

和解をしない理由とはなりえないだろう。


c.ピーターの心情


最後に、心情的な問題。要するに、食用児に迎合するのをよしとするか、というところ。

今まで散々見下してきた食用児に、生殺与奪権を握られ従うのかどうか。

ここが正直最も彼の行動を左右するところではある。……が、彼の過去や背景が明らかにならないと判断できない。



2.和解からの裏切り


次に、エマたちの主張を飲んだふりをしてから、彼女たちを討つという可能性。

人間の世界へ行き、自分たちの安全が保証されてからエマたちを殺すことができれば、命を拾った上で憎き食用児を殺すことが出来るだろう。

とはいえ、約束は履行されないパターンも実現可能だが、結局農園は立ち行かないことに変わりはない。


ただ、この場合はピーターの心情的にすっきりすることができる。

更に、世界の行き来は一応可能なため、「調停役」という立場を続けられる。

3つのルールは一応守り続けることができるかもしれない。

そして、人間の世界を守っている、という大義名分が重要ならば、それも維持されることとなるだろう。

このあたりがラートリー家にとって重要なものならば、この選択肢をとる可能性が高そうだ。


とはいえ、人間を狩る鬼が発生すればそれを防ぐ必要があるし、彼に敵対しうるレウウィスに対抗する必要があったりするので、実際に可能かは難しいところ。



3.心中


最後に、当初の予定通りエマを殺し、約束を不履行に。

自分は助からないが、約束は不履行。食用児は鬼の世界へとどまることになる。

心情的にすっきりすることはできるが、基本的には和解からの裏切りの下位互換。

食用児たちの幸福が自分の死よりも嫌ならばやるかもしれないが、命を拾える方法があるならそっちを取るだろう。



といった感じで、現状は和解からの裏切りが、ほどよくラートリーとしてはメリットが大きそうかなと。

食用児の幸福を阻害し、世界は閉ざされないため”調停役”の体はとれる。


以下に結論をまとめた。



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結論


ピーターはエマとの対話を受けてどんな対応をするのかを考えてみた。

大前提、人間の世界やピーターの心情、3つのルールやラートリー家の立場といった情報が不足しているため、絶対にこうだ、と言い切ることはできない。

ので、ピーターが取れる行動のメリットとデメリットを挙げて考えてみた。


まず、エマを殺して自分も死ぬというのは基本的に厳しい。

和解するか、一旦和解して命を確保してから裏切る方がメリットが大きい場合が多いからだ。


和解するなら、命は保証される。

しかし、調停役ができないことによって、3つのルールの罰則を受ける可能性や、人間の世界での立場を維持できない可能性が生まれる。

これがもし、自分の死よりもひどい状況になるのならば、この行動は取りづらい。


では、和解したふりをして、安全になってからエマを殺すのはどうだろうか?

命を拾いつつ、約束が不履行となれば2つの世界は行き来できる。調停役としての立場は保てるだろう。

鬼の世界で人間を襲う鬼をどうにかする必要はあるかもしれないが、和解によって発生するデメリットは解消されているだろう。

何より、ピーターの心情的にも復讐を遂げられるのがよいところ。

ただし、調停役としての役割を未だ全うする必要があったり、レウウィスと敵対しうるというところが難しい。


ラートリーにとって実際にどこが重要か次第で、和解か裏切りかの選択が決まるというのが、現状の結論だ。


おわりに



172話の考察放送はこちら。

172話伏線・考察まとめ配信ログ(2020年3月23日放送)









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