174話のざっくりとした解説・考察。あのお方の目的と、そこから考えるエマの”ごほうび”

週刊少年ジャンプ 2020年19号
約束のネバーランド 第174話 新しい世界① より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか



本日は管理人の体調が優れないため、申し訳ないが簡易版。

ツイッターにさっと出した案を基本として、174話の考察とその解説や、時間が経って考えが変わった、気づいたことなどを補足していく。

(もしかしたら、普段の考察や配信ログよりも読みやすいかもしれない。それもどうかと思うが)


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3つのルールについて







補足。3つのルールは以下の通り。

1.あのお方との約束は上書きできない
2.あのお方との約束は破ることができない
3.”ごほうび”は絶対に断ってはいけない


これを考えると、エマの結んだ約束は、1000年前の約束を破り、上書きしたことになる。

どういうことか。

「世界を2つに分けてほしい」だけでは、「約束」とは言わない。一方的なお願いである。

「世界を2つに分ける代わりに、ごほうび(調停役、および最上物の食用児)を支払う」という形で初めて「約束」になる。



となると、エマの結んだ「全食用児を人間の世界へ移動し、それを最後に2つの世界の行き来を不可能にする」という約束は、この全てに抵触しうる。

「調停役が成立しなくなる(行き来が不可能なため)」し、「食用児の献上も不可能」になる。

つまり、エマの約束は1000年前の約束を実質的に上書きする上、ごほうびも支払えないものとなってしまう。

3つのルールをガン無視した願いと言っていいだろう。


だけど、エマの願いにあのお方は「いいよ」と即答した。

個人的に、ずっとそこに違和感を抱いていた。3つのルールはどうした、と。


ところが今回はあのお方は「思ったより長く楽しめた」とピーターに声をかけた。



週刊少年ジャンプ 2020年19号
約束のネバーランド 第174話 新しい世界① より引用
(C)白井カイウ/出水ぽすか



すなわち、

あのお方にとっての約束やごほうびは、もともと「ちょっと楽しめればよかった」(楽しむ、の定義については後ほど)、くらいのものであったのではないか、という話。

3つのルールは絶対に守らなければならない、というものではなく、あのお方の匙加減であった。

けれど、鬼としては「あのお方の気分次第」とは分からないからこそ、3つのルールというものを定め、「それを守っておけばひどいことにはならないよね」というふうに広めたのではないか、と考えた。


何がいいたいかというと、

「3つのルールってザルのように見えたけど、あのお方が決めたわけじゃないなら、エマの約束に即答したのは納得はいくよね」ということである。

実際どうかは、まだちょっと検討が足りないところではある。


あのお方の目的


ちらっと登場した”あのお方”。一言だけでもけっこう情報・疑問が増えたので、それについてもうちょっと。

1.調停役は”ごほうび”になっていたのか?






調停役って、あのお方にとってどんな「楽しみ」になっていたのか?ということについて。

あのお方の行動原理につながりそうなところなので、ちょっと考えてみたい。


初代ユリウス・ラートリーに関しては描かれたとおり。

彼は鬼との戦いの日々に苦しみ、和平の道を選んだ。

そんな彼から奪う”大切なもの”――ごほうびとして、あのお方は「人間と鬼の調停役」を欲した。

これはつまり、「戦いから逃れたかったのに、何故かずっと付き合うことになったし、味方の犠牲をずっと見届ける必要が出た」ということ。

これは間違いなく、ユリウスにとって大切な、得たかった”安らぎ”を奪っただろう。


しかし、その後はどうだろう。

173話のピーターのモノローグによると、ラートリー家の調停役としての役割は、美談として語られてきた。

つまり、少なくともジェイムズまでの調停役のほとんどは、苦しむことなく調停役を担ってきたことになる。

しかし今回あのお方は、「思ったより長く楽しめた」と語っている。

彼は一体どこを楽しんだのか?という疑問である。


a.本来は、初代の絶望さえ見れればよかった

まず、初代ユリウス・ラートリーの絶望さえ見れればよかった、というパターン。

それで満足するはずだったけれど、ジェイムズが真実を知って苦しんだし、ピーターもそれに対抗した。

その様子が楽しめたからこそ、あのお方は「”思ったよりも長く”楽しめた」と発言したのではないかと。


b.農園というシステムを楽しんだパターン

人が人を養殖し、食料として提供する。

あるいは、ラートリーが調停役として五摂家と癒着するという歪さなどを楽しんだパターン。

これはこれで、無いとは言えない。


今のところ考えられるのはこの2パターン。

思ったより、という発言に説明が付きやすいので、aのパターンが有力そうだと考えている。


2.エマの”ごほうび”について





ラートリーに対して、「楽しめた」と発言したことから、あのお方は楽しむことが目的である可能性が高い事がわかった。

つまり、最上物の献上などの物理的・即物的なメリットよりも、奪われたもののリアクションを見ることなどが大事であるかもしれないな、と。

その上で、これまでで分かっている”ごほうび”の条件として、

・約束の内容自体は叶える
・その人・鬼が、大切に思っているものを奪う
・「きみの――」という要求。エマの持つ何か


というものがある。

このへんをふまえて、エマの”ごほうび”について考えてみる。


a.エマの寿命

エマは仲間と別れ、仲間も悲しむ。

両者のリアクションは十分楽しめるだろうし、約束自体は果たされる。


それなりに有力だ。

ただし、今回の発言より、「長く楽しむ」ことも重要である可能性が否めない。

その点だけは現状、ちょっと微妙だ。死んだら終わりだから。


b.エマの身体を鬼にする

こうなれば、人間の世界へ行っても迫害を受けるし、仲間も側にはいづらいだろう。

そうなればエマにとって大切なものを失うし、鬼として人を食べなければいけない、という葛藤も楽しむことができる。

鬼となれば寿命は長くなるし、「長く」楽しめる。


現状、どっちもありえないことはないかなと。絞り込みも難しそうだが。



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王都からの伝令は何だったのか?






シスターの報告の仕方から見ると、食用児にとってポジティブな伝令である可能性が高い。

また、状況的に見てもレウウィスによって権力体制や邪血・農園への認識が変わったことくらいしかないだろう。

あそこから更に状況が覆る要素は、観測できる範囲だと存在しないからだ。


とはいえ、伝令を今にも襲いくる王兵が聞き入れるかというと微妙。

罠の可能性だってあるわけだから、ひとまず食用児を倒してから帰って真実を確かめる……という行動も考えられるだろう。






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